案内人
私の周りには、団塊の世代のサラリーマンや、その世代を多数雇っている経営者の方はいません。ですから「2007年問題」というのは、あまり身近な話ではなかったのですが、今年、二人の方が還暦を迎え、退職されるということを聞きました。お二人とも、かつて私が在籍した政治家を育成する「塾」の職員だった方々です。某家電メーカーのエリート社員で、一時的にその「塾」に出向しておられました。
(「塾」については、こちら→http://lifestream.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_376d.html)
先週の土曜日、都内のホテルで、お二人の「還暦を祝う会」が開かれたそうで、ウェブアルバムのアドレスが送られて来ました。残念ながら、私は行けませんでしたが、お元気そうな様子を、写真で拝見することができました。
退職後、ボランティアや畑仕事をしようかと考えているM氏は、在塾当時、新入塾生の募集や選考の担当で、人なつっこい笑顔が印象的な方でした。入塾試験は、面接の他、ミニサッカーやディスカッションなどがありました。もちろん、試験には真剣に取り組みましたが、ただ一度、やる気を失う場面があったのです。それは、「予算ぶんどりゲーム」でした。
参加者数名が、それぞれ各省庁を代表する大臣として、限られた全体の予算から、できるだけ多くの金額を自分の省庁のために「ぶんどってくる」というゲームです。政治家になれば、そのような場面に遭遇するのかもしれませんが、私は、ゲームの趣旨を聞いた時から、真面目に取り組む気がしませんでした。ただ自分の省庁の懐が暖かくなれば、他がどうなってもいいのか、という思いがあったからです。
一緒に参加した人たちは、熱心に取り組んでいましたが、私は、自分の省庁の主張はせず、結果として、一銭ももらいませんでした。本当の大臣や官僚なら、すぐ失脚でしょうね(笑)。試験には、落ちたと思っていました。しかし、不思議なもので、選考担当のM氏は、どうも「無欲な姿勢」(笑)を評価してくれたようで、それが合格につながったようです。人生、何がプラスになるか、分からないものです。
牧師になる決心をして、塾を離れる時、M氏は、「違う世界に行くことになり、もう会うことがないと思うけれど、頑張って下さい」というようなメッセージを下さいました。政治の道を選択せず、残念ながら、M氏の期待に応えることはできませんでした。神様がなぜ、あの「塾」に私を導かれたのか、実は今でも、よく分かりません。しかし、少なくとも大学卒業後の2年余りの期間、日本と世界の将来を思い、自分は何をすべきか徹底的に考え抜くという、貴重な時間を与えてもらったように思います。
M氏は、そこに私を導くため、神様が備えられた「案内人」だったのでしょう。神様は、私たちが進むべき道を教え、羊飼いのように、私たちを導いて下さいます。
「わたしは、あなたの神、主である。わたしは、あなたに益になることを教え、あなたの歩むべき道にあなたを導く。」(イザヤ48:17、新改訳第3版)
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