ロン&ヘレン
フローレンス・アベニュー教会は、優秀なスタッフにも恵まれていました。総務、会計、音楽、カウンセリング、チャイルドケア&教会学校(乳児~成人)、レディース、シニア、シングル、高校生、中学生、付属小学校、聖書講座の各分野において、フルタイムのスタッフがいました。皆さん、とても気さくで親切でしたが、その中で一番お世話になったのは、ロンとヘレンの夫婦です。
ロン・メイ牧師は、以前、オハイオ州で主任牧師をしていましたが、教会内で聖書講座を創設するため、前年からフローレンス・アベニューに来ていました。東部では、肉のセールスをしながら教会を開拓し、聖書大学でも教えていたそうです。奥様のヘレンも、家計を支えるため、店員をしていたとのこと。私たちがお会いした頃は、50代後半だったのではないでしょうか。ロンは、多弁で愉快なヤンキーという雰囲気で、ヘレンは、無口で優しい、引っ込み思案の女性でした。
私たちが教会のアパートに入った当初は、すぐ隣がロンとヘレンでした。彼らは、3人の子どもや孫たちから遠く離れていたせいか、4歳になっていた私たちの長女をたいへん可愛がってくれました。長女にとっては、アメリカのおじいちゃん、おばあちゃんのようで、彼らが隣の棟に引っ越した後も、毎日のように家に遊びに行き、近くのお店に行っては、何か買ってもらっていました。
ロンは、博士号こそ持っていませんでしたが、偉大な聖書学者のようで、私が質問をすると、明確な答えが必ず返ってきました。留学中に私が書いたレポートのほとんどすべては、提出前にロンが目を通し、文法的な間違いを指摘し、英語らしい言い回しを教えてくれました。ロンのオフィスは、聖書や神学関係の本が揃ったちょっとした図書室のようで、参考文献も気軽に貸してくれました。私にとっては、いつもそばにいる家庭教師のようであり、またアメリカ人の父のようでもありました。
ある時、ロンのお父さんのことを聞くと、子どもの頃、沖縄戦で亡くなったと言います。私は日本人として、たいへん申し訳ないような気持ちがしましたが、そう伝えると、「そんなこと、気にすることはない」と言って、笑っていました。
車がない時には、あちこち連れて行ってもらったり、和食のレストランでご馳走になったりもしました。私たちが帰国した翌年、東部に帰ったということですから、あたかも、私たち家族のお世話係として、神様がロサンゼルスに送ってくれたかのようです。神様の、十分な心遣いに感謝します。
「まことに主よ。あなたは私を助け、私を慰めてくださいます。」(詩篇86:17、新改訳第3版)
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