格差社会
私が牧師を志す以前に政治経済を学んだ1980年代前半、日本社会の近未来を読み解くキーワードは、「国際化、高齢化、情報化」だと言われていました。それから20数年を経て、今の時代を理解するキーワードは、水野和夫というエコノミストの方の話によると、「帝国化、金融化、二極化」だそうです。
グローバル経済化が進み、国境の意味がなくなる「帝国化」、金融取引が実物経済より優位に立つ「金融化」、あらゆる面で格差が広がる「二極化」が、現代を特徴づける構造変化ということのようですね。(詳しくは、「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」、日本経済新聞出版社刊)
二極化対策の一環なのかどうか、本日、内閣府が公表した2007年度の経済財政白書では、格差是正のため、低所得者層を支援する新たな制度が必要だと提言されているそうです。具体的には、「負の所得税」なる仕組みを挙げているとか。最低生活水準以下の低所得者層に、その差額のある割合を政府が現金給付する仕組みだそうです。
格差の拡大が進むと、いい仕事につけず、将来への希望を失いがちになる人たちが増え、その結果、アルコール依存症や自殺者数、そして犯罪も増加する傾向があるとのこと。そういえば最近は、犯罪検挙率が落ちているにも関わらず、刑務所はもう受刑者が入りきらないほど一杯だという話を耳にしますね。
どこかの誰か(!)が言ったように、「格差はどんな時代にもある」のは事実です。だからこそ、どの時代にも、政府による何らかの経済的救済措置が必要になるのでしょう。格差が固定化すると、社会の活力が失われるという議論もあります。
しかし、イエス・キリストは、まったく別の観点から、「格差社会」に救いの手を差し伸べました。たとえ社会的に「負け組」となり、貧しい生活をしていたとしても、神様の愛によって心が満たされている人は、幸いで、心豊かな生き方をすることができるということです。自らの「貧しさ(足りなさ)」を認め、真の豊かさを求める人には誰でも、神の国の祝福と喜びが約束されています。
格差社会の中で、どんな生活を営んでいたとしても、経済的状況にすべてを支配される必要はありません。経済格差に左右されない、状況を超越した生き方をしていきたいですね。神様はまた、すべて必要なものを備えて下さり、状況を乗り越える力をも与えて下さいます。
「貧しい者は幸いです。神の国はあなたがたのものだから。いま飢えている者は幸いです。やがてあなたがたは満ち足りるから。いま泣く者は幸いです。やがてあなたがたは笑うから。」(ルカ6:20-21、新改訳第3版)
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