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2007年11月14日 (水)

アッシリア

米国留学中、就学前の長女にいくつかビデオを購入しましたが、その中にディズニーの「ピノキオ」がありました。木の人形ピノキオが、妖精により、最後は人間の子どもにしてもらうという、あの有名なストーリーです。主題歌「星に願いを」も、たいへん印象的な曲ですね。

ピノキオがクジラに飲み込まれ、反省した後、脱出するという話は、旧約聖書のヨナ書が下敷きになっているように思われます。紀元前8世紀頃、敵国アッシリアの首都ニネベに行き、神様のことばを語りなさいと言われたイスラエルの預言者ヨナは、それがいやで、地中海を渡ってスペインに行こうとします。大嵐の中、海に投げ込まれたヨナは、大きな魚に飲み込まれ、悔い改めた後、宣教師としてアッシリアへ向かいました。ヨナの言葉を聞いたニネベの人々は、即座に神様を信じて悪い行いから立ち返り、滅亡を免れたのです。

アッシリアは、史上最初の「世界帝国」を築いた国として、知られています。メソポタミア北部、チグリス・ユーフラテス両河の上流域を発祥とするこの国は、ペルシア湾からエジプトに至る「肥沃な三日月地帯」をすべて制圧し、広大な帝国を築きました。当時、二つに分裂していたイスラエルは、北王国が紀元前721年に滅ぼされ、人々は外国に連れ去られます。このいわゆる「失われた10部族」が、日本に来たかもしれないという話は、以前にご紹介しました。(http://lifestream.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_63a7.html

被征服民への残虐さで悪名高かったアッシリア帝国は、結局、紀元前612年にバビロニアなどにより滅ぼされます。その後、アッシリア人は国を持たない民族として生き延び、使徒トマスの伝道などにより、クリスチャンになったとのこと。ネストリウス派(景教)の宣教師として、シリアからモンゴル、中国、韓国、日本、そしてフィリピンにまで福音を伝えたとも言われています。(景教についても、以前書きました。→http://lifestream.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_d37f.html

アッシリアのクリスチャン神学者たちは、神学書のみならず、ギリシア古典をアッシリア語に翻訳し、それが後にアラビア語訳となり、さらにはラテン語に訳されてヨーロッパに伝わり、近代のルネサンスにつながったという説もあるそうです。

イスラム帝国内でも活動を続けたアッシリア人教会は、その後、モンゴル帝国により壊滅的な打撃を受けます。モンゴル軍の攻撃を避け、現在のイラク北部、シリア東部、トルコなどに避難した彼らは、各地で迫害されたようです。2003年のイラク戦争以降は、イラクに住むアッシリア人たちが何百人も殺害され、何十という教会が破壊されているとのこと。米軍による保護もなく、人口の半分にあたる75万人のアッシリア人は、すでに亡命したと推測されています。

神様は、どんな国の人をも愛しておられます。一晩で枯れてしまったトウゴマ(唐胡麻)の木を惜しんだ預言者ヨナに対し、神様は、ニネベに住むアッシリア人たちへのご自身の思いを伝えられました。現在、苦難の中に置かれているアッシリア人たちが、神様の助けを得ることができるよう、祈っていきたいですね。救い主なる神様は、どんな困難の中にある人をも愛し、いつくしみ、決して見捨てることのないお方です。

「主は仰せられた。『あなたは、自分で骨折らず、育てもせず、一夜で生え、一夜で滅びたこのとうごまを惜しんでいる。まして、わたしは、この大きな町ニネベを惜しまないでいられようか。そこには、右も左もわきまえない十二万以上の人間と、数多くの家畜とがいるではないか。』」 (ヨナ4:10-11、新改訳第3版)

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