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2007年12月12日 (水)

ロシア人と無神論

「宗教はアヘンである」という言葉を残したカール・マルクスは、ユダヤ系ドイツ人で、両親ともラビ(ユダヤ教指導者)の家系だったそうです。父は、キリスト教(プロテスタント)に改宗し、弁護士として活躍。カールも6歳の時に洗礼を受けたようですが、後に信仰を捨て、無神論者となります。

目に見えない世界を拒否し、目に見える世界だけで人類と社会のすべてを把握しようとした時、唯物史観と科学的社会主義が生まれました。そしてマルクスらの理論を土台として、1917年、ロシアに史上初の社会主義革命が勃発します。他国からの干渉戦争や内戦を鎮圧した5年後には、ソビエト連邦(ソ連)が誕生しました。

無神論を新社会建設の基盤とするソビエト政権にとって、教会は邪魔者です。スターリンは、「ソビエト宮殿」建設を名目として、クレムリン(旧ロシア帝国宮殿)の向かい側にあったロシア正教会の大聖堂を爆破し、破壊しました。連邦内の数々の迫害を象徴するような出来事でした。爆破された「救世主ハリストス大聖堂」は、ナポレオン戦争の勝利を記念し、コンスタンティノポリスの聖ソフィア大聖堂をモデルとして建設された聖堂だったそうです。

ところが、第二次大戦や軟弱な地盤などの問題により、結局、新宮殿は建設されず、同地には市民プールが造営されたとのこと。ソ連崩壊後の1994年に大聖堂再建が開始され、2000年に完成。細部に至るまで、忠実に再現されたそうです。正教会に集う人も増加しつつあり、ロシア正教会の総主教は数年前のクリスマスメッセージで、「教会の再生は奇跡であり、わが偉大な国がより強くなることはますます明確である」と語ったとのこと。ロシアにおいて無神論は、結局、正教会の信仰には勝てなかったようです。

プーチン大統領も、正教会の信者だと伝えられています。大統領は、ロシア社会に大きな影響力を保持する正教会に選挙協力を要請し、下院選に圧勝しました。後継大統領候補を指名し、自身は大統領の任期満了後、首相に就任しそうです。「モスクワは第三のローマである」と称したロシア帝国時代、国家は正教会の守護者という位置づけだったようです。無神論政権の崩壊と正教会の再生により、ロシアにおける国家と教会の復縁関係は、今後も蜜月状態が続きそうです。

マルクスとエンゲルスは、「科学的」な社会主義を唱えました。「科学(science)」とは、ラテン語の「知識(scientia)」を語源とする言葉です。一国の指導者は、正しい知識に基づいて国を治めてほしいですね。それは、無神論的な唯物史観からではなく、創造主なる神様から与えられるものだと、聖書は教えています。

「よい分別と知識を私に教えてください。私はあなたの仰せを信じていますから。」(詩篇119:66、新改訳第3版)

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