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2008年5月 1日 (木)

神のしもべのしもべ

昨日は、イエズス会で「神のしもべ」としての生き方が強調されており、その総長は「黒い教皇」と呼ばれると書きました。これに対して、「白い教皇」に相当するローマ教皇は、「神のしもべのしもべ」と呼ばれるそうです。まさにサーバント・リーダーシップですね。

キリストの十二弟子のリーダー的存在だった使徒ペテロは、皇帝ネロの迫害の時代、ローマにて殉教したと言われています。カトリック教会では、ペテロを初代教皇とし、その使徒職は代々のローマ教皇によって継承されて来たと考えます。教皇の紋章には、ペテロに与えられると約束された「天国の鍵」が描かれています。

プロテスタントがカトリックと袂を分かった宗教改革以降、カトリック教会は、プロテスタント教会の正統性に異議を唱えて来ました。ローマ教皇の使徒的権威から離れてしまったため、使徒たちの教えを正しく継承していないという主張です。

昨年7月には、教皇庁が「ローマ・カトリック教会は唯一の正統な教会である」という文書を公表。プロテスタント教会は、「使徒ペテロに始まる使徒的伝承をプロテスタント教会が壊し、叙階の秘跡(聖職者任命の儀式)を損なったために、『教会』と呼ぶことはできない」と、その中に書かれているそうです。

もし使徒がシモン・ペテロだけであり、「天国の鍵」もペテロとその正統な後継者だけに代々受け継がれるのだとしたら、カトリックの主張が正しいかもしれません。しかし、使徒はもちろんペテロだけでなく、「天国の鍵」も、主イエスがペテロ以外の使徒たちに対しても(ペテロを通してでなく)直接与えられたと考えるのが自然です。使徒パウロは、ペテロの後継者とは見なされませんが、「天国の鍵」を存分に使い、宣教活動を行っています。

多くのプロテスタント教会も、宗教改革の時代まで遡れば、もともとカトリック教会の改革運動から生み出されています。ですから、聖書の教えに忠実である限り、使徒の働きを継承していると言って良いのではないでしょうか。

先月、アメリカを訪問したローマ教皇ベネディクト16世は、「神のしもべのしもべ」として大統領と会談し、数万人参加のミサを執り行い、国連本部で人権尊重と信教の自由を訴え、ユダヤ教のシナゴーグを訪問し、9・11の現場である「グラウンド・ゼロ」にひざまずき、祈りをささげました。

また、カトリック以外のクリスチャンたち250人が参加する会議に出席し、「福音の真理とその道徳的教えに根ざしたキリスト者たちの確かな証しだけが、世俗化の拡大など急速に変容する世界の挑戦に答えていくことができる。世界はこうしたキリスト者たちのメッセージを待っている」と語ったそうです。

ローマ教皇が本当に「神のしもべのしもべ」なら、全世界に大きな影響力をもつリーダーの一人として、良い霊的模範を示していってほしいですね。昨年の教皇庁の文書は残念な内容でしたが、ローマ教皇の今回の米国訪問は、素晴らしかったように思えます。

私たちも、イエス・キリストから与えられる「天国の鍵」をしっかりと握り、福音の真理を証しすることにより、人々を天につなげる働きを担っていきたいですね。

「…あなたはペテロです。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てます。ハデス(冥界)の門もそれには打ち勝てません。わたしは、あなたに天の御国のかぎを上げます。何でもあなたが地上でつなぐなら、それは天においてもつながれており、あなたが地上で解くなら、それは天においても解かれています。」(マタイ16:18-19、新改訳第3版)

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