天の教えを実行する
エヴェリット・ロジャースという社会学者は、新しい商品やサービスに対して、人々がどういう反応をするか研究しました。5つのタイプに分かれると彼は考えました。1つ目はイノベーター(革新者)で全体の2.5%。冒険的で、新しい物をすぐ採り入れます。新しければ良いので、役に立つかどうかは考えません。2つ目はアーリーアダプター(初期採用者)で、全体の13.5%。彼らはオピニオンリーダーで、他の人たちに影響力があります。彼らの意見により、新しい物が広まるかどうかが決まります。3つ目はアーリーマジョリティ(前期追随者)、34%。新しい物に少し慎重ですが、オピニオンリーダーの影響を受け、割と早めに採り入れる人たちです。ブリッジピープルとも呼ばれます。4つ目はレイトマジョリティ(後期追随者)、34%。新しい物に疑いを持っています。周囲の大多数が使用しているのを見て、採り入れます。フォロワーとも呼ばれます。5つ目はラガード(遅滞者)、16%。流行や世の中の動きにあまり関心がなく、新しい物が新しくなくなるまで買いません。最後まで買わない人もいます。新しい物を売り出す人は、誰がオピニオンリーダーなのか気になりますね。CMには、オピニオンリーダーになりそうな好感度の高い人を使おうとするはずです。
パリサイ人は、1世紀ユダヤ人社会のオピニオンリーダーでした。彼らは、人々に大きな影響力を持っていました。バビロニアにいたユダヤ人たちは、ペルシア帝国の時代になってイスラエルの地に戻って来ました。ペルシアは、ユダヤ人の信仰に寛容でした。その後、ペルシアを滅ぼしたギリシアは多神教の国でしたが、ユダヤ人の信仰に不寛容でした。多神教なら寛容だというのは、大きな誤解です。ギリシア人は自分たちの信仰を、ユダヤ人に押し付けようとしました。日本にいるクリスチャンも、多くの人が似たような同調圧力を感じて来たはずです。ギリシアの圧力に反発したユダヤ人たちは、唯一の神との契約を忠実に守ろうとしました。この運動が、パリサイ派の始まりだそうです。サドカイ人は上流階級でしたが、パリサイ人は主として中流階級でした。農家や商人が多かったようです。律法学者をリーダーとするグループに属し、聖書を学び、励まし合いました。シナゴーグと呼ばれる会堂で律法を教え、パリサイ人以外の人たちにも多くの影響を与えました。彼らの信仰の「かたち」は、現代のユダヤ教はもちろん、キリスト教会にも影響を残しています。マスメディアもインターネットもない時代でしたが、パリサイ人は、律法学者を中心とするシナゴーグでの教えを通して、ユダヤ人社会のオピニオンリーダーとなっていました。
残念ながら多くのパリサイ人は、イエス様の教えを受け入れて広めるオピニオンリーダーにはなりませんでした。逆にイエス様を排除し、十字架につける方向に動きました。しかし、後に一人のパリサイ人がイエス様を信じ、世界中に大きな影響を与えるオピニオンリーダーとなります。使徒パウロです。彼は異邦人に天の教えを宣べ伝え、地の果ての多くの人々が読む長い手紙を何通も書きました。どんな人にも、やり直すチャンスがあります。「罪人のかしら」パウロは、悔い改めて天の教えを実行する人になれたのです。
「…律法学者、パリサイ人たちは、モーセの座を占めています。ですから、彼らがあなたがたに言うことはみな、行い、守りなさい。けれども、彼らの行いをまねてはいけません。彼らは言うことは言うが、実行しないからです。」(マタイ23:2-3)
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