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2017年8月

2017年8月27日 (日)

神の優しさと厳しさを知る

 映画「アメイジング・ジャーニー 神の小屋より(The Shack)」は、9月9日に日本で公開となります。女優のすみれさんが、ハリウッドデビューした話題作です。原作者のウィリアム・ポール・ヤングさんはカナダ人で、両親は宣教師でした。幼い頃、彼は両親の宣教地である西ニューギニアで育ちました。かつてイリアンジャヤと呼ばれ、未開部族が住んでいた土地です。両親はその後、カナダに帰り、牧師になりました。ヤングさんは神学校で学び、大きな教会のスタッフになりました。結婚後、子供が6人生まれました。「神の小屋」は、その子たちのために書いたそうです。最初、自費で15冊作りました。彼の友人たちには、出版を勧められました。でも、26の出版社から断られたそうです。結局、ヤングさんは自分たちで会社を作り、2007年に出版しました。すると口コミで評判が広がり、1年でなんと100万部売れました。さらにニューヨークタイムズのベストセラーリストで、70週連続1位になりました。2年後には1千万部以上売れ、表彰を受けたそうです。多くのクリスチャンは、この本を絶賛しました。しかし、神学的な問題点を指摘する声も多くありました。

 物語は、結婚して子供が5人いるマックが主人公です。彼は、家族で森にキャンプに出掛けます。そこで末っ子ミッシーは誘拐され、殺されます。父親のマックは、心に大きな傷を負います。神への信仰も失いかけます。しかし彼は、神との不思議な出会いを体験します。そして、心の傷が癒されます。私も以前、友人に勧められ、この本を読みました。感動的な結末でした。ただ私にも、気になる点がいくつかありました。その一つは、殺された娘の名がミッシー(Missy)だったこと。Missyは、私の妻のニックネームです(笑)。小説とはいえ、嫌な感じがしました。最も違和感があったのは、父なる神の姿です。「パパ」と呼ばれる人は、ママのようなアフリカ系の女性でした。なぜママが、「パパ」なのか。それには、理由があったのです。でもこの設定には、私以外にも違和感を持つ人が多かったようです。ちなみにイエス様は、ユダヤ系の逞しい男性として登場します。イエス様は大工だったので、イメージ通りですね。聖霊は、不思議な感じが漂うアジア系の女性です。すみれさんは、この役を演じています。

 天の父なる神は、実は男でも女でもありません。神は霊であるため、性別がないのです。「父」というのは、私たち人間の理解を助けるための呼び名に過ぎません。父なる神は、父親のような厳しさも母親のような優しさも、両方持っておられます。父のような力強さで全世界を創造し、母のようないつくしみで私たち一人ひとりを包んでおられます。アブラハムの子孫を特別な子供たちとして受け入れ、親として大切に育てて来られました。時には父のように厳しく、彼らを訓練されました。あるいは母のように優しく、彼らのあらゆる必要を満たされました。彼らが神に反抗すると、父なる神は彼らに厳しく接しました。ついには国を滅ぼし、人々をその地から追い出されました。それでも神は母のように優しく、彼らに寄り添い続けました。捕囚の地でも彼らを決して見捨てず、人々が約束の地に帰る手助けをされたのです。

 イエス様は、神の「霊的DNA」を持つひとり子です。パリサイ人や律法学者たちには、厳しく接しました。社会を指導する立場にいながら、人々を間違った方向に導いていたからです。弱い人や苦しんでいる人には、優しさを示されました。彼らにいつくしみの光を照らし、希望を与えるためです。イエス様は、創造主なる神がどんなお方か教えに来られました。イエス・キリストを通し、私たちは神の優しさと厳しさの両面を知ることができるのです。

「見てごらんなさい。神のいつくしみときびしさを。倒れた者の上にあるのは、きびしさです。あなたの上にあるのは、神のいつくしみです。ただし、あなたがそのいつくしみの中にとどまっていればであって、そうでなければ、あなたも切り落とされるのです。」(ローマ11:22)

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2017年8月13日 (日)

人々の救いを願い求める

 あさって15日は、「終戦の日」です。日本では、この日に第2次大戦の終わりを記念し、特別な催しが開催されます。戦没者追悼式や平和集会などです。韓国や北朝鮮でもこの日、日本の支配の終わりをお祝いするそうです。でも実は、戦争が終わったのは8月15日ではありません。日本がポツダム宣言を受け入れると海外に伝えたのは、8月14日。降伏文書への調印は、9月2日です。欧米では、この日が対日戦勝利の日とされているとのこと。さらに平和条約が成立し、正式に戦争状態が終わったのは、7年後の4月28日でした。8月15日は、このどれにもあたりません。その日は、天皇が国民に終戦を告げた日でした。当時の日本は、天皇が中心の国でした。戦争開始や終了を決める最終的な権限は、天皇にありました。しかも天皇は、日本を治める神々の子孫として敬われていました。天皇の言葉は、絶大な影響力を持っていたのです。実際、終戦の発表を阻止しようとした人々もいました。戦争継続を主張した一部の軍人たちです。彼らのクーデターは失敗に終わりました。陸軍大臣は切腹しました。そして天皇の言葉は、ラジオで国民に伝えられたのです。

 その日、天皇は終戦についてこう語りました。「天皇家は先祖代々、日本国民の平穏無事と世界の繁栄を願って来た。この戦争は長く続き、日本には不利な状況となった。残虐な新型爆弾(原爆)も落とされた。このまま戦争が続けば、日本人は滅亡する。戦争で死んだ人々を思うと、内臓が引き裂かれるようだ。日本は、これからたいへんな苦難を経験するだろう。しかし耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、未来のため平和への道を開きたい。」たいへんな数の命が、すでに失われていました。その人たちが願った勝利は、得られませんでした。しかし戦争を継続すれば、さらに多くの犠牲が予想されました。そこで天皇は、国民に戦争の終わりを告げたのです。まだ生きている多くの人々の命を救いたいと願ったからです。

 イスラエルも、かつて戦争に負けました。もっとひどい負け方でした。ソロモン王の死後、彼らの国は南北に分裂しました。北の王国は、アッシリアとの戦争に負けました。国は滅ぼされ、人々は世界中に散らされました。その時以来、彼らは行方不明です。南の王国は、バビロニアとの戦争に負けました。国は滅亡し、ユダヤ人たちはバビロニアの国に連れ去られました。70年経って、彼らの一部は元の領土に戻ることができました。でも祖国は、滅んだままでした。バビロニアの後、ペルシア、ギリシア、そしてローマが彼らの支配者となりました。ユダヤ人たちは、祖国の復興を願い続けました。戦争状態が終わり、占領軍が立ち去る時を待ち続けました。救世主が現れ、「もはや戦後ではない」と宣言される時を求め続けたのです。

 イエス様は救世主として、その宣言をしに来られました。しかしそれは、イスラエルの独立宣言ではありませんでした。世界中の人々が争い、互いに傷つけ合う時代は終わったと宣言されたのです。人類は創造主なる神から離れ、無益な争いを繰り返して来ました。数えきれないほどの人が、尊い命を落として来ました。創造主は、人々の争いを終わらせ、できるだけ多くの命を救いたいと願われました。人類の代表としてイスラエルを選び、彼らを通して神の計画を伝えられました。そしてその約束通り、イエス様が来られたのです。イエス・キリストを信じる人は、無益な争いから救われます。神の平和を喜ぶことができます。その喜びを全世界の人と分かち合いたいと願うようになるのです。

「兄弟たち。私が心の望みとし、また彼らのために神に願い求めているのは、彼らの救われることです。」(ローマ10:1)

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2017年8月 6日 (日)

神のあわれみを感謝する

 大和ハウスのCMに、2年前から竹野内豊さんが出演しています。天井の高い家のCMです。その家には4人家族が住み、竹野内さんはお父さん役です。妻役は、女優の中村優子さん。双子の女の子がいて、家で遊んでいます。妻と子供たちは、天上の高い家を喜んでいます。お父さんも一緒に喜んでいるように見えます。しかし彼には、家族に言えない秘密がありました。本当は、天井の高さを喜んでいなかったのです。彼は子供のころから、天井が低く、狭い所が好きでした。好きな場所は、ダンボールで作った小さな家、押し入れの中、カプセルホテル、あるいは机の下のスペース・・・。天井の高い家を喜ぶ家族には、話せない秘密でした。ところが今年のCMで、新たな事実が判明しました。妻は、夫の秘密を知っていたのです。「私は全部知っている」と、妻は心の中でささやきます。「天井が高いって最高だな」と、夫は言います。妻は笑顔になりますが、心の中では「嘘つき」と言っています。ちょっと怖いですね。

 子供の多くは、狭い所で遊ぶのが好きなようです。ダンボールの中、部屋の隅、ソファの後ろ等です。いつもと違う暗く狭い場所に入ると、心がわくわくするという見方があります。一方、子供は狭い場所に安心感を持つという見方もあります。狭くて暗い、壁に閉ざされた空間は、お母さんのお腹の中のようだからです。竹野内さん演じるお父さんは、大人になっても子供の心を持ち続けているようですね。

 ヘブル語の「あわれむ」、「ラーハム(racham)」という単語は、「子宮(レヘム; rechem)」という言葉がもとになっているそうです。この単語は、3つの子音から成り立っています。「ר (レーシュ)」は人、「ח (ヘート)」は塀で囲まれている様子、「ם (メーム)」は水で隠されているものを表します。この3つが組み合わさると、「人が水の中に隠され、守られている場所」という意味になります。新しい世界に飛び出すまで、子供は母親のお腹の中でしっかり守られます。十分な栄養が与えられます。最初は目に見えないほど小さないのちが、誰の目にも明らかな大きさに成長します。同じように神のあわれみは、私たち一人ひとりをしっかり包み、霊的に大きく成長させてくれるのです。

 たいへん興味深いことに、神のあわれみを思い起こすため、ユダヤ人たちは毎年秋、「狭い場所」に入ります。仮庵の祭りです。彼らの先祖はエジプト脱出後、40年間荒野のキャンプで、テント生活をしました。次世代育成ブートキャンプです。神はその間、彼らの生活全てを守り、信仰を養い育てられました。神のあわれみが真実であることを彼らに示されたのです。その体験にちなみ、仮庵の祭りには仮小屋を作り、1週間そこで過ごします。「狭い場所」に入って神のあわれみを思い起こし、感謝するのです。

 神であるイエス様は、人間の体という狭い場所に入って下さいました。人類を代表し、暗く狭い墓の中にも入って下さいました。その場所は、神の限りないあわれみで包まれていました。イエス様はそこで少しだけ休み、新しい世の到来を告げるため、再び外に出て来られました。イエス・キリストを信じる人は、神のあわれみを知ることができます。地上の体という狭いテントで過ごしながら、永遠の世界に飛び出す準備を進めることができます。ひょっとしたらCMの竹野内さんのように、狭い場所が好きになるかもしれません。そこで神のあわれみを思い起こし、感謝できるからです。

「したがって、事は人間の願いや努力によるのではなく、あわれんでくださる神によるのです。」(ローマ9:16)

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