グッドニュースを語り継ぐ
日本の8月は、戦争体験を語り継ぐ月となっています。8月6日は広島原爆の日。9日は長崎原爆の日。15日は終戦記念日。それぞれの日に平和を祈る式典があり、テレビで全国放送されます。他のメディアも、この時期に戦争特集を報道します。日本中の人が悲惨な戦争体験を振り返り、二度と同じ過ちを繰り返さないという決意を新たにします。第2次大戦では、全世界で数千万人の人が亡くなりました。そのうち日本人犠牲者は310万人。当時の人口の約4%です。銃弾や爆弾で死んだ人たち。船が沈み、水死した人たち。自ら命を絶った人たち。病気で死んだ人や餓死した人も、たいへん多かったと聞きます。8月半ばは、ちょうどお盆の時期と重なります。多くの人が墓参りをし、亡くなった人を偲ぶ時です。8月に戦争犠牲者を思い、平和を祈るのは、時にかなっているのかもしれません。
8月15日は、日本に初めて平和の福音が伝わった日でもあるそうです。1549年のこの日、カトリックの宣教師フランシスコ・ザビエルが鹿児島に上陸。彼らの熱心な宣教活動により、70万人を超える日本人がキリシタンになったとも言われます。彼らの多くは厳しい迫害に屈せず、信仰を守り抜きました。平和の福音を子々孫々にも伝えました。キリシタンは、同じ信仰を持つ人たちと集落を作り、生活をともにするようになりました。
そのような集落の一つが、長崎・浦上地区にありました。2発目の原爆が投下された場所です。多くのカトリック信者が、まるで呪いを引き受けてくれたかのように原爆の最後の犠牲者となりました。浦上天主堂にいた多くの信者は全員死亡。カトリックの医師だった永井隆夫妻も被爆。奥様は自宅で即死し、台所跡に骨のかけらだけ残りました。救護活動をした永井医師も、白血病で6年後に命を落とします。長崎原爆の直後、昭和天皇はとうとう戦争を終える決断を下しました。「平和をもたらしたい」と、ラジオで直接国民に語りかけました。8月15日は再び、平和の良い知らせが伝わった記念すべき日になったのです。
世界の全てを造られた唯一の神は、平和を心から願っておられます。「一神教が戦争をもたらす」という言葉を、日本ではよく耳にします。でも実際は、多神教の人々も戦争を起こします。八百万の神々を信じる日本人は、中国や米国と戦争を始めました。神を信じない人々も、戦争を仕掛けます。共産主義のソ連は、何度も外国を侵略しました。「戦争が起きるのは唯一の神のせいだ」と考えるのは、責任転嫁です。神は、人類の平和を願われています。この世界に永遠の平和を築くため、神は、先ずアブラハムを全人類の代表として選ばれました。神との平和を保つなら、彼の子孫は平和に暮らせると約束されました。永遠の平和を完成させる王がいつか現れるとも、神は彼らに約束されたのです。
イエス・キリストは、その約束の王として私たちの世界に来られました。武力でこの世を鎮圧せず、愛をもってご自身を犠牲にされました。神との平和を土台とし、世界に平和を築くためです。私たちはこれまでの大きな犠牲を思い、過ちを二度と繰り返すべきではありません。人の力によらず、キリストの力、全能の神の権威により永遠の平和が完成するという良い知らせを信じましょう。神の国のグッドニュースを心から喜び、後の世代に語り継いで行きましょう。
「行って、『天の御国が近づいた』と宣べ伝えなさい。」(マタイ10:7、新改訳2017)
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