置かれた場所で実を結ぶ
外出自粛要請で、多くの人の生活が一変しました。外に行かず、家で過ごす時間が増えているようです。3月末に「家での過ごし方」について、ある調査が行われました。東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県に住む、20~69歳の男女1,000人が対象の調査です。行動が制限されたことの第1位は旅行で、30.2%。第2位はショッピングで、29.7%。第3位は一人か少人数での外食で、27.6%。外出制限でプラスになったことの第1位は「お金を使わなくなった」で、37.4%。2位は「のんびりすることができた」34.6%。3位は「家族や同居人との時間が増えた」24.5%。一方、外出制限でマイナスになったのは、第1位「運動不足」49.8%。第2位「ストレスがたまった」46.2%。第3位「将来的な不安が生まれたか、大きくなった」29.5%です。政府の緊急事態宣言が出る前の調査なので、経済的な不安を感じる人はまだ多くなかったかもしれません。
家でする時間が増えたのは、「テレビを見る」が圧倒的で50.2%。2位は「家の掃除や片付け」27.7%。3位は「料理を作る」27.6%。以下、「インターネット閲覧」26.2%、「寝る」26.0%と続きます。今後やってみたい家での過ごし方は、第1位が「筋トレやストレッチ」21.5%。2位は「家の掃除や片付け」18.6%。3位「読書」17.2%。以下、「勉強」14.4%、「映画を観る」13.0%です。皆さんいろいろ考えていますね。クリスチャンの場合は、「祈る」や「聖書を読む」が増えてほしいようにも思います。先週こういう話も耳にしました。「教会のおじいちゃん、おばあちゃんのパソコン力がアップしている。」インターネットでの礼拝や交わりが増えているからですね。私たちが家に閉じこもっても、神はその状況を用い、何か良いことをして下さると期待できます。
聖書にも、閉じこもる生活をした人たちが登場します。しばらく閉じこもった結果、何か良いことが起きています。アブラハムの孫のヤコブは父の家を離れ、しばらく叔父ラバンの家に閉じこもりました。ヤコブはそこで結婚相手と出会い、男の子が12人生まれました。経済的にも祝福されました。その後、彼の家族は飢饉を避け、エジプトにしばらく閉じこもりました。70人だった家族は時が経つと、数百万人の民族になりました。モーセは人を殺し、ミディアンの荒野に閉じこもりました。そこで彼は、謙遜さと羊の群れの導き方を学びました。エジプト脱出後、ユダヤ人はシナイの荒野に閉じこもりました。40年間の訓練を終え、彼らは神に忠実に従う精鋭部隊に生まれ変わりました。ダビデやエリヤも、荒野に閉じこもりました。彼らはそこで十分に祈り、神への信頼を深めました。閉じこもる生活は快適ではなく、苦痛を伴います。でもその苦痛を経て、神が私たちに良い実を結ばせて下さるのです。
8年前、渡辺和子さんが「置かれた場所で咲きなさい」という本を出しました。彼女は若い頃、慣れない土地で慣れない仕事を任され、自分の殻に閉じこもる経験をしました。その時、ラインホルド・ニーバーという神学者の詩に出会い、生き方が変えられたそうです。「神に植えられた場所で輝き、他の人を幸せにしなさい」という内容の詩です。花が咲けば、実を結ぶ季節が来ます。私たちは今、家に閉じこもる時間が増えています。でも家の中に置かれても、神は私たちに素晴らしい実を結ばせて下さるのです。全知全能の神に不可能はありません。
危機的な状況に置かれても、神は私たちに良い実を結ばせて下さいます。今日はヨセフが直面した危機を通し、私たちの結ぶ実について考えてみましょう。
第一に私たちは、誠実の実を結べます(創世記39:6)。ヨセフは兄たちに売られ、エジプトに連れて行かれました。ファラオの家臣ポティファルの家で、しもべとして働くようになりました。神は、彼の働きを祝福されました。ヨセフは何をやっても上手くこなし、主人に信頼されました。主人から、全財産の管理を任せられるまでになりました。彼は若くて優秀、しかもマッチョなイケメンでした。当然のように、誘惑の危機がヨセフに忍び寄って来ました。主人ポティファルの妻が、毎日ヨセフを誘惑したのです。夫は仕事で忙しく留守がちで、妻のことはほったらかしだったのかもしれません。毎日言い寄られるのは、大変な誘惑でした。もしヨセフがその甘いささやきに負けたら、彼はそれまで手にした物全てを失ったはずです。私たちにも誘惑の危機がやって来るかもしれません。その時、何を選択するかが、大きな違いをもたらします。
ヨセフは、誘惑に屈しませんでした(創世記39:9)。彼は、天地創造の神を信じていました。ヤコブの子として、アブラハム、イサク、ヤコブの神への信仰を受け継いでいました。誘惑に乗り、自分の主人を裏切ることは、神への裏切りでした。ヨセフはそう信じ、誘惑をはねのけたのです。ポティファルの妻は、プライドが傷つきました。ヨセフが襲って来たと、夫に嘘をつきました。その結果ヨセフは、牢屋に入れられます。でも彼は、一切言い訳をしませんでした。ポティファルのしもべである以上に、ヨセフは神に仕える誠実なしもべだったのです。罪の誘惑に勝利し、ヨセフは誠実の実を結びました。私たちも、同じ実を結ぶことができます。信仰により誘惑の危機を突破し、誠実の立派な実を結びましょう。
第二に私たちは、知恵の実を結べます(創世記39:20)。牢屋に入れられたヨセフは、絶望の危機に直面していました。彼は兄弟の中で一番、父に可愛がられていました。兄たちが彼にひれ伏す夢も見ました。でも兄たちはヨセフを妬み、奴隷として売り飛ばしました。ヨセフは、ポティファルにも可愛がられていました。家の管理の全てを任されました。でもポティファルの妻はヨセフを中傷し、彼は投獄されました。悪いことをしていないのに酷い扱いを受け、全てを失ったのです。もし皆さんが同じ状況に陥ったら、どうでしょう。私なら、絶望するかもしれません。何もやる気がなくなるかもしれません。でもヨセフは、絶望しませんでした。監獄でもポティファルの家と同じく、全ての管理を任されたのです。
ヨセフが監獄に閉じ込められても、神は彼とともにおられました。そして、夢を解き明かすチャンスと知恵を与えられたのです(創世40:8)。それは、ファラオの献酌官長と料理官長が投獄された時のことでした。彼らは過ちを犯し、ヨセフと同じ監獄に入れられました。2人はそこで、不思議な夢を見ました。ヨセフは神から知恵を頂き、2人の夢をそれぞれ解き明かしました。ヨセフが言った通りのことが起きたのです。その後ヨセフは、ファラオの夢を解き明かすチャンスもゲットしました。その時も彼は、神の知恵により見事に夢を解き明かしました(創世記41:39)。神は、私たちにも知恵を授けて下さいます。神の助けにより、私たちは絶望の危機を突破し、知恵の輝かしい実を結ぶことができるのです。
第三に私たちは、愛と自制の実を結べます(創世記42:6)。ヨセフはファラオの夢を解き明かし、エジプト全土の支配を任されました。そこにカナンから、兄たちがやって来ました。飢饉で穀物がなくなり、買いに来たのです。ヨセフはすぐに兄たちだと分かりましたが、兄たちはヨセフが分かりませんでした。彼らが自分の前でひれ伏した時、ヨセフはずっと昔に見た夢を思い出しました。彼はその時、怒りや憎しみを爆発させる危機にありました。兄たちに復讐するチャンスでした。でもヨセフは、爆発しませんでした。その代わり昔、兄たちが犯した過ちを悔い改めているのか、確かめようとしました。私たちも時には、爆発しそうな危機があるかもしれません。でも爆発すれば、全てがぶち壊しになる恐れがあります。
ヨセフは、ぶち壊しにしませんでした(創世記45:7)。自分は神に遣わされ、今この場所に置かれていると理解していたのです。ヤコブの家族を飢饉から救うため、ヨセフはエジプトの王宮の中に置かれました。それは、「アブラハムの子孫イエス・キリストを通し、全世界の人が祝福される」という神の壮大な計画の一環でもありました。ヨセフは神を愛し、自分の家族を愛していました。そして、怒りや憎しみが爆発する危機を突破できました。私たちも聖霊の力により、感情爆発の危機を乗り越えられます。そして、愛と自制の美しい実を結ぶことができるのです。
危機の中に置かれても、神が私たちに良い実を結ばせて下さることを感謝しましょう。私たちはそれぞれ置かれた場所で実を結び、暗闇にイエス様の光を輝かせましょう。
「あなたがたは私に悪を謀りましたが、神はそれを、良いことのための計らいとしてくださいました。それは今日のように、多くの人が生かされるためだったのです。」(創世記50:20)
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