神のことばにより生きる
今日から何回かシリーズで、「新しい生活様式」について考えてみましょう。先月初め、新型コロナ対策の専門家会議は「新しい生活様式」の提言を行いました。「新しい生活様式」とは、感染症拡大を防ぐため、今までと違う生活をすることです。すでに多くの人は、次の3つを実践しています。第一に、感染防止の基本を守ること。身体的距離の確保やマスクの着用、手洗い等です。第二に、日常生活のあり方を変えること。いわゆる「3密」――密集・密接・密閉の回避、こまめな換気、咳エチケットの徹底等です。第三に、働き方のスタイルを変えること。テレワークやローテーション勤務、時差通勤等です。業種ごとに感染防止ガイドラインの作成も求められています。多くのキリスト教会でもインターネット礼拝が導入され、集まる場合も3密を避ける工夫がなされているようです。
環境省と厚生労働省は先月末、新しい生活様式における熱中症対策のポイントも発表しました。第一に、換気をしつつエアコンを使用すること。窓を開けると温度が上がるため、低めの温度設定が良いそうです。第二に、屋外で他の人と十分離れていれば、マスクをはずすこと。マスクを着けたままだと体温が上昇し、熱中症の危険が高まるとのこと。その他、例年と同じ対策も必要です。こまめな水分補給、日頃の健康管理や体作り等です。
マスクをしていると肌が荒れる人、あるいはニキビや湿疹が出る人もいるそうです。マスク着脱による摩擦や温度・湿度の急激な変化が原因とのこと。対策として、肌を清潔に保つ、乳液等を塗る、時々マスクを外す等の方法が挙げられています。「新しい生活様式」では、生活の仕方がいろいろ変わりますね。
聖書時代の人々も、別な意味で「新しい生活様式」が求められて来ました。神の国に招かれた人は、その国にふさわしい生き方をする必要があったのです。エジプトを脱出したユダヤ人たちは、偶像の神々を拝む生活様式に長年慣れ親しんでいました。しかし天地創造の神は、彼らに全く新しい生活様式を教えられました。偶像を捨て、唯一の神だけを愛する生き方です。その生活様式を身につけるため、ユダヤ人は荒野のサバイバルを40年間続けました。その厳しい訓練を通し、ユダヤ人は後世に語り継がれる重要な教訓を学びました。創造主なる神が、あらゆる必要を満たされるという教訓。そしてみことばに基づく「新しい生活様式」により、人の命は守られ、支えられるという教訓です。
イエス・キリストは、神のことばによって生きる「新しい生活様式」を世界中に広められました。ユダヤ人だけでなく、全ての人が神の国に招かれ、新しい生活様式を選択できる時代になったのです。その生活様式により、私たちは偶像の呪縛から逃れ、自由を得ます。創造主なる神に信頼し、日々のさまざまな心配から解放されます。どんな危機が訪れても、心は平安で満たされます。イエス様が、この素晴らしい生活様式を全ての人に提供して下さったのです。
みことばによって生きる新しい生活様式について、今日は旧約聖書・申命記4~8章を通して考えてみましょう。
第一にみことばで生きる生活様式とは、創造主を愛する生き方です(申命記4:32)。ユダヤ人たちは、彼らの先祖アブラハム、イサク、ヤコブの神を知っていました。その神が全世界を創造し、全ての命を造られたことも知っていました。でも彼らが長年暮らしたエジプトでは、別の神々がたくさん祀られていたのです。それらの神々の中で一番偉いのは、太陽の神ラーだとされていました。ラーが全ての命を創造し、全世界を治めていると、エジプト人は信じていました。そしてエジプトの王ファラオはラーの子孫であり、化身だとされていたのです。日本の神道に似た信仰です。出エジプトは、エジプト人の信仰が間違っていることをはっきり示しました。全世界を治めているのはラーではなく、イスラエルの神ヤハウェだったのです。ヤハウェなる神は、ご自身だけが唯一本物の神で、他の神々は偽物だと断言されました。出エジプトと荒野を体験したユダヤ人たちは、その神のことばが真実だとはっきり理解することができました。
神は、ユダヤ人たちに忠実さを求めました(申命記5:7、6:5)。唯一の真の神だけを愛する生き方です。他の神々に浮気するような生活様式から完全に離れることを、神は彼らに求められました。偶像を拝んでいたのは、もちろんエジプト人だけではありません。世界中の人がさまざまな神々を祀り、拝んでいました。全ての人は創造主に造られたのに、人々はその神を忘れ、何か別なものを拝んでいたのです。神はユダヤ人を通し、全世界の人々に「新しい生活様式」を示されました。唯一の創造主なる神だけを忠実に愛する生き方です。この「新しい生活様式」は、イエス様により私たちにも伝えられています。神のことばなるイエス様は、私たちに創造主だけを愛する生き方を教えて下さったのです。
第二にみことばで生きる生活様式とは、救い主を告げ知らせる生き方です(申命記6:20-21)。ユダヤ人たちは、子供たちに神の救いを語り続けるように命じられました。出エジプトは、彼らの原点の一つでした。エジプトで彼らは奴隷となり、強制労働をさせられました。苦しみの中で彼らが神に叫ぶと、神は彼らをエジプトから救い出されました。数々の驚くべき奇跡が起きました。羊の血を塗った家の子供だけが、死なずにすみました。海が二つに分かれ、ユダヤ人は海底を歩いて渡り、エジプト軍は水の中に沈みました。そして荒野の40年間、空から食べ物が降ってきました。救い主なる神は彼らを苦しみから救い、虐殺から救い、餓死からも救われたのです。その偉大な救いのみわざを、彼らは彼らの子孫に、そして全世界に告げ知らせる使命が与えられたのです。
神が彼らを救われたのは、彼らを愛しておられたからです(申命記7:8)。彼らが良い人たちだったからでも、優秀だったからでも、強かったからでも、あるいは何か可能性を秘めていたからでもありません。実際、ユダヤ人はこの後、数々の問題を引き起こしました。愚かな行動をとり、敵との戦いに敗れました。約束の地で、偶像を拝むことさえしました。彼らは私たちと同じように、人間的な弱さを抱える普通の人々だったのです。でも神は、彼らを深く愛されました。アブラハム、イサク、ヤコブに与えた約束を、神は忠実に守られました。そしてユダヤ人はエジプトから救われ、約束の地へ向かうことができたのです。神は同じように、全ての人を深く愛しておられます。どんな問題を抱えた人も、イエス様は救って下さいます。イエス様に救われた私たちは、この救い主の偉大さを告げ知らせる生き方ができるのです。
第三にみことばで生きる生活様式とは、祝福の神について行く生き方です(申命記7:12-13)。神はモーセを通し、ユダヤ人に律法を与えられました。今私たちが手にしている聖書の最初の部分、創世記から申命記までです。その律法の定めを守るなら祝福すると、神は約束されました。これはユダヤ人にとって、新しい生活様式でした。出エジプトの前は、彼らに律法がありませんでした。アブラハムもイサクもヤコブもヨセフも、その都度、神に言われたことを行いました。でもシナイ山でモーセが律法を受け取った後は、律法が彼らの生活の指針になったのです。どんな生き方をしたら神に祝福されるのか、律法を見て判断できるようになりました。私たちも聖書を通し、神の祝福を受け取る生活様式を知ることができます。どんな生き方を避けるべきかも、聖書を通して知ることができます。
律法をユダヤ人に伝えたのは、モーセです(申命記8:1)。彼は聖霊に満たされ、預言者として神のことばを人々に伝えました。イエス様も聖霊に満たされ、最大の預言者として神のことばを語られました。ペンテコステの日以降は、全ての弟子たちに聖霊が注がれています。神のことばを預けられ、人々に伝える働きが今も続けられています。聖書が完成した後は、聖書に追加することばを語る人はもういません。人々を励まし、祝福の神に近づける預言のことばが語られます。預言のことばは、私たちが神を愛し、人を愛する生き方を全うする助けとなります。祝福の神について行く新しい生活様式が私たちにも可能になるように、励ましが与えられるのです。
イエス様が、私たちに新しい生活様式を教えて下さったことを感謝しましょう。私たちは、みことばに基づく新しい生き方を実践して行きましょう。
「・・・それは、人はパンだけで生きるのではなく、人は主の御口から出るすべてのことばで生きるということを、あなたに分からせるためであった。」(申命記8:3)
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