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2020年10月

2020年10月25日 (日)

オーガニックな関係を共有する

 コロナ禍にあっても、健闘している企業があります。今治タオルのメーカー、IKEUCHI ORGANICも、その一つです。同社は、1953年に「池内タオル工場」という名前で創業しました。2014年には原材料のコットンを100%オーガニックにし、現在の社名に変更したそうです。コロナの影響で企業向けの売上は落ち込みましたが、ネット販売は増加しました。ステイホームで、ネット購入のニーズが増えたようです。Zoomでオンライン接客を始めると、利用者の約8割が新規の顧客で、そのうち実際に買う人は9割を超えました。店舗の売上も、前年より増加したそうです。

 社名に「ORGANIC」とつけたのは、原材料以外の意味もあるそうです。コットンの生産者、IKEUCHIのスタッフ、そして顧客との間に「本来あるべき関係を築く」という意味とのこと。「本来あるべき関係」は、コロナ禍にも動じないのかもしれません。

 「オーガニック」という言葉は、「有機的」と訳されます。多くの場合、農薬や化学肥料を使わずに作った食品を意味します。同じような方法で作った綿花は、オーガニックコットンと呼ばれます。最近は、オーガニックを謳い文句にする化粧品もあるようです。千葉県木更津市は、なんと4年前から「オーガニックなまちづくり」に取り組んでいます。人と自然が調和した、持続可能な「オーガニックシティ」を目指すそうです。同市のホームページでは、オーガニックという言葉の意味をこう説明しています。「『オーガニック』は、・・・人間の体のように、一つ一つの細胞がつながりあって、バランス良く連携・補完しあい、全体を形成している様子を意味します。」

 実は「オーガニック」とは、人間や他の生き物の体の仕組みを表す言葉です。一つ一つの部分が全体と密接につながり、調和する仕組みです。この「本来あるべき関係」を保つ食品等も、オーガニックと呼ばれるのでしょう。

 エデンの園は、オーガニックな世界でした。もちろん、農薬も化学肥料もありません。人と自然が調和した、持続可能な「オーガニックガーデン」でした。神に創造されたものの全てに、完全な調和がありました。互いの関係に完璧なバランスがあり、全てが創造主なる神と密接につながっていました。

 この美しい調和とバランスを破壊したのは、サタンと人間です。サタンの誘惑に負け、アダムとエバはオーガニックを破壊する木の実を食べたのです。エデンの園は調和を失い、持続可能でなくなりました。創造主と被造物との密接な関係も壊れました。でも全知全能の神は、その事態をあらかじめ想定しておられました。その後、長い年月をかけ、オーガニックな世界を再建するプロジェクトを進められられたのです。

 イエス・キリストは、このプロジェクトを完成させるため、調和を欠く世界に来られました。イエス様を信じる人は、創造主なる神との関係が回復します。聖霊の助けにより、神との密接なつながりを持てます。イエス様に呼び出された人の集まり=教会には、壊れた人間関係の回復も与えられます。教会は、「キリストのからだ」と呼ばれます。一人ひとりが体の一部のように互いに組み合わされ、支え合い、集まり全体につながるのです。

 世界中には、さまざまなキリストの集まりがあります。小さな集まりや大きな集まり。静かな集まりや賑やかな集まり。気楽な集まりや秩序だった集まり。今はオンラインの集まりもあります。イエス様につながる人は皆、オーガニックな関係を共有します。オーガニックな世界はまだ再建途中ですが、いつか完成する日が来ます。私たちは、その日を楽しみに「本来あるべき関係」を築くことができるのです。

「あなたがたはキリストのからだであって、一人ひとりはその部分です。」(Ⅰコリント12:27)

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2020年10月18日 (日)

神殿の奉仕を共有する

 首都圏には、巨大な「地下神殿」があると言われます。埼玉・春日部市にある首都圏外郭放水路です。国道16号の地下50mに作られた長さ6.3kmの放水路で、世界最大級とのこと。周辺の中小河川で洪水が起きると、水の一部を江戸川に流し、被害を減らすそうです。昨年の台風19号の時も大活躍し、周辺地域は洪水を免れたと聞きます。

 「地下神殿」と呼ばれるのは、江戸川に注ぐ直前の巨大な水槽です。水の勢いを弱め、スムーズに排水するための設備だそうです。長さ177m、幅78m、高さ18mの水槽の内側に、重さ500トンの柱が59本そびえています。見た目の雰囲気から、「地下神殿」と呼ばれるようになりました。公式の愛称は「彩龍の川」です。「彩龍」とは、「彩の国=埼玉の龍」という意味なのでしょう。地元・春日部市には、龍が住民を災害から守った伝説があるそうです。ひょっとしたら「地下神殿」は、龍を祀る神殿なのかもしれません。

 龍は、古くから神として祀られました。もともとは、中国から伝わる信仰のようです。水や天候を支配する神とされ、中国皇帝のシンボルにもなりました。日本でも水を司る神と言われ、竜神、竜王、竜宮などと呼ばれます。雨乞いの儀式や豊漁祈願の祭りが、今も日本各地で行われるようです。

 5月の「こいのぼり」も、この信仰と関係があります。中国の次のような伝説に由来します。「『龍門』と呼ばれる川の急流を登りきると、鯉は龍になる。」ご存知の通り、これが「登龍門(登竜門)」という言葉の語源です。龍は支配者の象徴なので、「龍になる」とは立身出世を意味します。

 一方、聖書では、龍(竜)はサタンの象徴です。サタンはイエス様を誘惑し、こう言いました。「国々の権力や栄光は、全て私に任されている。私は、望む人にそれらを与える。私にひれ伏すなら、全てはあなたのものだ。」イエス様はもちろん、この誘惑をはねのけました。でも世の圧倒的多数の人は、この誘惑に負けそうに感じます。

 人類の歴史は、サタンとの戦いの物語でもあります。サタンは、エデンの園でアダムとエバを誘惑しました。二人はその誘惑に負け、天地創造の神を裏切りました。彼らの子孫も、サタンの悪影響を受け続けました。創造主に逆らう生き方をし、地上に悪が満ちました。人々は、サタンの手下である悪霊たちを神々として祀りました。世界に闇が広がる中、創造主なる神は、人類をサタンの支配から救う計画を進められました。アブラハムと彼の子孫を通し、その計画は徐々に明らかにされました。

 サタンや悪霊と手を切り、創造主だけをあがめるため、アブラハムは祭壇を築きました。モーセたちは、幕屋を作りました。ソロモン王は、エルサレムに神殿を建設しました。幕屋や神殿の奉仕は、祭司やレビ人が担当しました。彼らは、ユダヤ人をはじめとする全ての人が天地創造の神を礼拝するために仕えたのです。

 時が満ち、神の救いの計画は新たな段階に入りました。イエス・キリストが、全く新しい神殿の建設を始められたのです。信じる人々自体が創造主を祀る神殿となり、互いに組み合わされ、建て上げられます。この神殿には、聖霊なる神が住まわれています。

 エルサレムから始まったこの神殿建設は、世界中に広がり、今も工事中です。さまざまな人々が、神殿の一部とされています。世界各地で教会堂に集まる人。家に集まる人。お店や職場で集まる人。オンラインで集まる人。地上にも地下にも集まる人がいます。イエス様を信じる人は、誰もが祭司であり、神殿の奉仕を共有しています。私たちは、世界中の人が創造主を礼拝するお手伝いをさせていただけるのです。

「私たちは神のために働く同労者であり、あなたがたは神の畑、神の建物です。」「あなたがたは、自分が神の宮であり、神の御霊が自分のうちに住んでおられることを知らないのですか。」(Ⅰコリント3:9、16)



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2020年10月11日 (日)

新時代のプロジェクトを共有する

 インターネットの利用者は、世界中で増加中のようです。ある調査によると、21世紀が始まった2001年にインターネットを使った人は世界人口の8%、5億人弱でした。ところが昨年は推計で53.6%、41億人以上に増えています。先進国だけ見ると、86.6%の人が利用とのこと。スマホの普及が大きな要因のようです。もちろん日本も、同じ傾向です。総務省の調査では、2019年にインターネットを利用した人は89.8%で、1億人以上。13歳から64歳までの人は90%以上が利用し、それより高齢の人も増加傾向です。今年はコロナの影響で、ネット会議やオンラインイベントが増えました。インターネット利用率は、さらに上昇したかもしれません。

 私たちは現在、オンラインで世界とつながる新しい時代を体験しています。遠い昔、私の学生時代は、インターネット以前の「旧い時代」でした。何か学んだり、調べたりするには、自分で実際に体験するか、人に話を聞くか、あるいは印刷物を読むことが中心でした。ところが25年前にWindows95が販売され、その後インターネットが広く普及すると、状況は一変しました。ネットを通し、あらゆる情報が手に入るようになったのです。

 今はちょっとした調べ物なら、たいていネット検索で事が済みます。聖書について知りたい人も、かなりの内容をネットで調べられます。礼拝やセミナー等の動画もあります。私の教会も今は、オンラインで礼拝しています。インターネット時代の幕開けとともに、世界中の人があらゆる情報をオンラインで交換するプロジェクトが始まりました。私たちは今、この新時代のプロジェクトを共有しているのです。

 人類は、イエス・キリストの到来とともに、大きな変化を経験しました。キリスト以前の「旧い時代」には、ユダヤ人たちが天地創造の神に「呼び出された人々」でした。彼らは神の祝福を受け、その祝福を全世界に流し出す「管」とされました。天からみことばを授かり、ユダヤ人たちは地上の旅路を進みました。神と契約を結び、歴史的勝利を体験しました。神殿が完成すると、祈りの輪に加わりました。捕囚から帰った時は、回復を喜びました。それら全ては、「旧い時代」の祝福でした。

 神は、その「旧い時代」にさまざまなプロジェクトを進められました。アブラハムに子孫を与えるプロジェクト。彼らに約束の地を与えるプロジェクト。その後、彼らを世界中に散らし、再び約束の地に連れ戻すプロジェクト。それらのプロジェクトが完了した頃、時が満ち、新しい時代がやって来たのです。

 イエス・キリストは、「旧い時代」と一線を画す、新たな時代をスタートさせました。ユダヤ人、異邦人に関わらず、イエス・キリストを信じる人が、神に「呼び出された人々」となる時代です。新たに呼び出された人々が、神の祝福の「管」となる時が来ました。その人々は天の王なるイエス様に導かれ、地上の旅路を進みます。血による新しい契約により、歴史的な勝利を体験します。イエス様の祈りの輪に加わり、救いと回復を喜び、全世界に天の祝福を分かち合います。

 この新時代には、新たなプロジェクトが始まりました。天の御国の新たな集まり=教会が、世界中に広がるプロジェクトです。イエス・キリストを信じる人は、誰でもこの新時代のプロジェクトに参加しているのです。

「ペテロは、ほかにも多くのことばをもって証しをし、『この曲がった時代から救われなさい』と言って、彼らに勧めた。彼のことばを受け入れた人々はバプテスマを受けた。その日、三千人ほどが仲間に加えられた。」(使徒2:40-41)

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2020年10月 4日 (日)

回復の喜びを共有する

 新型コロナに感染しても、すでに多くの人は回復しているようです。世界全体の感染者数は、9月末の時点で3,300万人以上。死者数は全体の3%で、100万人を超えました。現在治療中の人は27.3%で、900万人余り。残りの69.7%、2,300万人余りの感染者は、もう回復しているとのこと。一方、日本の感染者は、8万3千人以上。死者数は全体の1.9%で、1,500人余り。治療中の人は7.7%で、6,400人余り。回復した人は全体の90.4%で、7万5千人以上だそうです。後遺症の状況は分かりませんが、9割が回復と聞くと、少しほっとしますね。

 重症化しやすいと言われる高齢者の中にも、回復した人はいます。米国ニュージャージー州に住む106歳の女性、ローズ・ブルンバーグさんは、その一人。彼女が4月下旬にコロナに感染すると、ご家族は最悪の事態を考えたそうです。ローズさんは介護施設内の隔離病棟に入り、そこで3週間過ごしました。すると少しずつ回復し、5月下旬に病棟から解放されました。ローズさんは、「ワンダー・ウーマン」と呼ばれたそうです。彼女は1914年生まれで、「スペイン風邪」や2度の世界大戦を乗り越えて来ました。そして今回、コロナ感染からも回復したのです。家族や介護スタッフは大喜びし、回復祝いのパーティーが開かれました。たとえコロナに感染しても、ローズさんのように回復し、元気になる人がどんどん増えてほしいですね。後遺症も一切ないように願っています。

 ソロモン王の死後、イスラエルの国は衰退の一途でした。国中に偶像礼拝が広まったのが原因です。まるで、疫病の大流行のようでした。国王から一般庶民に至るまで、人々はあらゆる神々を拝みました。彼らに約束の地を与えた唯一の神は、忘れ去られました。その結果、ユダヤ人たちは外国に強制隔離となりました。それは、疫病のような偶像礼拝が終息するためでした。

 バビロニアでの隔離期間は、70年。その隔離生活は、彼らが自分たちの生き方をリセットする機会となりました。彼らは、預言者たちのことばに耳を傾けました。神の約束や先祖たちの生き方を思い起こしました。そして隔離が終わったらどう生きるのか、思いを新たにしました。偶像礼拝から離れ、唯一の神だけを拝む生き方に立ち返ろうとしたのです。こうしてユダヤ人たちは、約束の地に帰りました。回復を大喜びし、仮庵の祭りをお祝いしました。その時の集会も、ヘブル語で「カハール」と呼ばれています。ギリシア語の「エクレシア」に相当する言葉です。

 イエス・キリストは、全世界の人に回復を与えに来られました。人類共通の祖先アダムとエバは、エデンの園で罪を犯しました。その罪は、「死に至る疫病」のようでした。その日以来、人類は「天の故郷」から隔離されました。この「疫病」は、人の知識や努力では決して治すことができません。隔離がいつまで続くのか、全く見通しが立ちませんでした。

 ところが天地創造の神には、「疫病」終息の驚くべきプランがあったのです。神ご自身が人となり、命を懸けてこの「疫病」を撲滅する計画でした。イエス・キリストを信じる人は、罪という「死に至る疫病」から救われます。隔離生活から解放され、神が用意した永遠の故郷に帰ることができます。帰郷する仲間の集まりで、回復の喜びを共有できるのです。

「捕囚から帰って来た全会衆は仮庵を作り、その仮庵に住んだ。ヌンの子ヨシュアの時代から今日まで、イスラエルの子らはこのようにしていなかったので、それは非常に大きな喜びであった。」(ネヘミヤ8:17)

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