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2021年2月

2021年2月28日 (日)

愛の輪を世界に広げる

 パレスチナのガザ地区は、地中海に面し、イスラエルとエジプトの国境に接した帯状の地域です。旧約の時代には、イスラエルの強敵ペリシテ人が住む地域の一部でした。今は住民の大部分が、パレスチナ難民とその子孫とのこと。1948年のイスラエル建国により、故郷を失った人々です。

 ガザ地区の面積は東京23区の6割ほどで、人口は200万人以上。世界で最も人口密度の高い地域の一つだそうです。8割の人が食糧援助に依存し、失業率は40%。それでも女性一人あたりの出生率が4.7人で人口は急増しており、9年後の2030年には310万人になる予測だそうです。

 ガザ地区では、飲料水も危機的状況にあります。95%の水は汚染され、病気の3割は水が原因と言われるそうです。このためEUやユニセフ等は、水から塩分を除去する浄水場の建設・拡大を進めています。でも、まだ道のりは遠いようです。

 巨大プロジェクトとは別に、個人的に支援を始めたユダヤ人もいるそうです。ガザ地区の水問題を知り、彼は自分の会社の製品を2台寄付しました。空気中の湿気を飲み水に変える装置です。彼は、こう言っています。「私たちの目標は、地上の全ての人が飲料水の供給を受けることです。・・・先ず隣人を助けるべきだと、すぐ分かりました。」

 さらに彼は、こう付け加えました。「ガザ地区の人々は、この装置がユダヤ人からのプレゼントだとは思わないでしょう。これは、神からのプレゼントなのです。神が下さる物は受け取るべきだと、彼らは理解したのです。」この方は「敬虔なユダヤ教徒」だそうですが、イエス・キリストの愛の教えを実践しているかのようですね。

 異邦人に愛をあらわす行動は、実は旧約聖書の中にも前例があります。エジプトの食糧危機を解決するため、ヨセフはファラオの王宮に遣わされました。彼の働きは自分の家族だけでなく、エジプト人たちを飢餓から救いました。アッシリアを滅亡から救うため、ヨナはニネベの町に遣わされました。ヨナの警告のおかげで、アッシリア人は滅びずに済みました。バビロニアの有識者たちを救うため、ダニエルはバビロンの王宮に遣わされました。ダニエルのおかげで、カルデア人の有識者たちは命拾いしました。エリヤはシドン人の命を救い、エリシャはシリア人の将軍を助けました。

 天地創造の神がユダヤ人を選んだのは、ご自身の愛を全世界の人に伝えるためでした。ユダヤ人たちの愛の行いは、彼らを通して異邦人に与えられた、神からのプレゼントだったのです。

 イエス・キリストは、全ての人に差し出された、神からの新たなプレゼントです。イエス様は全ての人――自分を憎む人々をも愛し、自ら命を捨てられました。自分を十字架につけた人々のため、こう祈られました。「父よ、彼らをお赦し下さい。彼らは自分が何をしているのかが分かっていないのです。」

 イエス・キリストを信じる人は、神の愛のプレゼントを授かります。永遠のいのちを頂き、神の愛により人生が変えられます。自分に敵対する人、自分を憎む人をも愛せる力が与えられます。イエス様の愛の輪を全世界に広げるチャレンジングな働きに、私たちも加えていただけるのです。

「しかし、これを聞いているあなたがたに、わたしは言います。あなたがたの敵を愛しなさい。あなたがたを憎む者たちに善を行いなさい。」(ルカ6:27)

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2021年2月21日 (日)

人生の軌道修正をする

 先週は、NASAの火星探査車「Perseverance(パーサヴィアランス、愛称パーシー)」がニュースになっていましたが、今日は米国のパーシーではなく、日本の「はやぶさ2」のお話をします。 

 小惑星探査機「はやぶさ2」は昨年12月、小惑星リュウグウの石を地球に届けました。52億キロの旅を経て地球に帰って来た時、はやぶさ2は2種類のエンジンを使い、軌道を修正したそうです。化学エンジンとイオンエンジンです。

 化学エンジンとは、化学燃料を燃やして噴射し、前に進むエンジンです。ロケット打ち上げの時に私たちが目にするエンジンです。このエンジンは短時間で大きな力が出ますが、燃料がたくさん必要です。

 一方、イオンエンジンとは、イオンを外側に噴射して前に進むエンジンです。(こんなエンジンがあることは、先週まで知りませんでした。笑)このエンジンは加速するのに時間がかかりますが、比較的少ない燃料で長時間動くそうです。打ち上げ後の人工衛星や宇宙探査機の軌道修正に用いられるとのことです。

 「はやぶさ2」の軌道修正は、昨年9月から12月まで計6回行われました。1回目はイオンエンジン、その後は化学エンジンが使われたそうです。最後の軌道修正前に石の入ったカプセルを地球に落とし、探査機はその後、地球から再び離れ去りました。リュウグウの石を地球に届けるミッションを完了し、はやぶさ2は次のミッションに向かったのです。

 軌道修正する時は、エンジンが秒単位で正確に噴射したそうです。例えば4回目の噴射では、化学エンジンが最初に16秒、その後また1秒噴射しました。それらの噴射で、軌道を0・0085度(!)変更したそうです。最後の軌道修正では、4つの化学エンジンが30秒ずつ、3回噴射しました。

 プロジェクトチームは、遙か遠くにある探査機の場所や進行方向、速度等を正確に把握していました。どのエンジンを何秒間噴射すべきか正確に計算しました。そしてその通りの指示を伝え、探査機を動かしたのです。驚くべきほど高度な技術ですね。

 私たちの人生も、時には軌道修正が必要です。最初から目的地が一カ所で、そこにまっすぐ突き進む人は、まずいないからです。大地震やコロナ禍のように想定外の出来事が起き、軌道修正を迫られる場合もあります。

 はやぶさ2を参考にすると、軌道修正に必要なことは少なくとも5つありそうです。第一に、自分の人生のミッション(使命)を知っていること。これを知らないと、正しい軌道も分かりません。第二に、自分はミッション達成の軌道に乗っているか確認すること。第三に、正しい軌道に乗るにはどんな修正が必要か理解すること。第四に、軌道修正にはエネルギーや力がいること。そして第五に、軌道修正は一度だけとは限らないことです。

 イエス・キリストは、全ての人に人生の軌道修正を求めに来られました。私たちは自分のミッションをよく知らず、正しい軌道から外れていました。イエス様は、そんな私たちに人生のミッションとは何かを教えて下さったのです。私たちのミッションは、この世の旅を終え、永遠の祝福の世界に帰ることです。

 イエス・キリストを信じる人は、このミッション達成の軌道に戻ることができます。みことばや聖霊の導きにより、私たちは何度でも的確な指示を受け取れます。軌道修正に必要な力やエネルギーも、全て与えられます。私たちには、まさに神的な、驚くべき軌道修正の道が与えられているのです。

「そこでイエスは彼らに答えられた。『医者を必要とするのは、健康な人ではなく病人です。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためです。』」(ルカ5:31-32)



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2021年2月14日 (日)

天の恵みを感謝する

 ミャンマーの情勢は、気がかりです。今月初めに起きたクーデターで、アウンサンスーチー氏等が拘束され、軍の司令官が事実上の国家指導者になりました。テレビやラジオが止まり、インターネットや電話等も一時(?)使えなくなりました。世界各国がクーデターを非難し、多くの市民は抗議デモを行っています。コロナの感染は昨年秋がピークで、収束に向かっていたようです。でも大都市で数万人規模のデモが起きているため、今後、感染再拡大の恐れもあります。

 私は以前、何度かミャンマーの教会と聖書学校を訪問しました。そこは、小さな地方都市でした。現地の牧師と連絡をとると、銀行や病院、政府機関が閉鎖されているとのこと。牧師たちや教会の人々が主イエスに守られ、天の助けと導きにより平和に暮らせるよう、お祈りしています。

 ミャンマーでは長い間、内戦が続いてきたようです。今も仏教徒ゲリラとミャンマー軍との戦闘が拡がる地域があるそうです。あるクリスチャンたちは危険を避け、村を退去して安息の地を目指しました。80名の人が600キロ以上移動し、昨年12月にヤンゴン郊外に落ち着いたそうです。新たな集落を「ベイタラ(=ベテル)」と名付けました。ベテルは、ヘブル語で「神の家」という意味です。アブラハムの孫ヤコブが危険を逃れ、故郷を後にした時、一休みして神から励ましを頂いた場所でした。

 ベイタラの集落には水も電気も通らず、コロナ禍で仕事もないとのこと。でも彼らの牧師は、こう言っています。「困難があっても、安全な場所があり、銃撃や兵士の侵入を日々恐れずにすむのは、天の恵みです。」 彼らの現状も気がかりですが、この牧師の視点は大切です。日本にいる私たちも同じように、天の恵みにより生かされているのです。(たとえ時々、天変地異に見舞われてもです。)

 天地創造の神は、恵み深いお方です。太陽や地球を創造し、人類が住むのに最適な環境を整えて下さいました。それぞれの人に、住むべき場所を備えて下さいました。植物や動物を造り、育て、人類に必要な食物も与えられました。そして人類が神に背を向けても、神のもとに再び帰る道を用意して下さったのです。

 その恵みの計画実現のため、神はアブラハムとその子孫を人類の代表として選ばれました。彼らは神の恵みを繰り返し体験し、その証人となりました。エジプトで捕らわれ、虐げられた時は、神が彼らを解放し、自由にされました。神は、40年もホームレスだった彼らに約束の地を与えて下さいました。偶像の神々に遙かに勝る力を示し、神は彼らの霊的な目を開いて下さいました。ユダヤ人たちはその都度、天の偉大な恵みを知り、神に感謝したのです。

 イエス・キリストは、この天の恵みを全世界に拡げ、完成しに来られました。キリスト到来とともに、世界は新たな恵みの時代が始まったのです。天に昇り、全てを治めるイエス様は、地上のあらゆる必要を満たして下さいます。悪の力に捕らわれた人、虐げられる人を自由にして下さいます。聖霊を通し、天の恵みの真理に目を開かせて下さいます。

 今のこの世には、さまざまな困難があります。悪の力がまだ働いているからです。でもイエス様は、あらゆる悪に打ち克つ力を私たちに与えて下さいます。そして時が来たら、すべての悪を一掃して下さいます。恵みの時代は、やがて永遠の恵みの時にアップグレードされます。私たちは、この限りない恵みを永遠に感謝して生きることができるのです。

「主の霊がわたしの上にある。貧しい人に良い知らせを伝えるため、主はわたしに油を注ぎ、わたしを遣わされた。捕らわれ人には解放を、目の見えない人には目の開かれることを告げ、虐げられている人を自由の身とし、主の恵みの年を告げるために。」(ルカ4:18-19)

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2021年2月 7日 (日)

救いの道を告知する

 「全ての道はローマに通ず」という言葉があります。ローマ帝国は、道路網の建設を重要視しました。帝国内で何かあった時、すぐに軍隊を派遣するためです。戦車(戦闘用の馬車)や兵士たち、補給部隊等が、どこでもすぐ駆けつけられるように道路整備が進められたのです。敷石できれいに舗装された、幅4メートルの「高速道路網」が張り巡らされました。

 ある人によると、首都ローマから29の主要街道が放射線状に広がり、支配地域には372の幹線道路が作られたそうです。石で舗装された幹線は合計8万キロ、簡易舗装の支線を含むと40万キロに及ぶとのこと。地球を10周できそうな、とてつもなく長い距離です。「敵に攻撃されたら、ローマ軍がこの道を通って駆けつけてくれる」と、国境近くの人々は心強く思ったかもしれません。

 日本でも7世紀後半から、全ての道が都に通じるように作られました。中央集権的な国づくりが進められたためです。軍隊の移動のため、幅の広い道路が作られたようです。京都周辺と地方を結ぶ7つの幹線道路が作られ、所沢にもそのうちの一つが通っていました。道幅は当初、12メートルもあったそうです。

 鎌倉時代になると、「鎌倉街道」と呼ばれる道が整備されました。将軍の下に各地から武士が馳せ参じるための道路です。この道も、所沢を通っていました。私たちの教会堂のすぐ近くにある小学校の前にも、「旧鎌倉街道」と記した柱が立っています。

 江戸時代以降は、江戸・東京と各地を結ぶ道が整備されました。1960年代以降は、高速道路網が日本全国に作られました。高速道路、一般国道、都道府県道を合わせると21万8千キロあるそうです。狭い国なのに、日本も多くの舗装道路を作りました。どこかで災害が起きた時、自衛隊や緊急車両等に出動要請できるのも、道路が整備されているおかげとも言えます。

 道の中には、永遠の都に通じるものもあります。天地創造の神は、人類とともに永遠に過ごす国を用意して下さいました。唯一の神が王として治める、永遠の祝福の御国です。神はその都に住まわれ、あらゆる国の人々が一筋の道を通ってそこに上ってきます。

 かつて人類の祖先は罪を犯し、エデンの園を失いました。楽園で神とともに永遠に生きるチャンスをのがしました。でも恵み深い神は、人類にもう一度チャンスを下さいました。イエス・キリストを通し、全世界の人々を永遠の都に招いて下さったのです。

 救い主イエスを信じる人は、誰でもその都に上ることができます。イエス様は、永遠の都から全世界に伸びる唯一の道です。その道は、あらゆる苦しみや悲しみから人々を救うため、今も世界中に延伸しつつあります。

 バプテスマのヨハネは、この救いの道が開通寸前であることを人々に告知しました。彼は荒野に住み、そこから情報発信しました。苦しみや悲しみに満ちた私たちの世界も、ある意味、荒野のようです。イエス様は、荒野で暮らしているような全世界の人を永遠の祝福の都に導いておられるのです。

 イエス・キリストを信じる人は、永遠の祝福への道を安心して進むことができます。この道があるおかげで、いつ何が起きても、私たちは心強く感じられます。バプテスマのヨハネのように、周りの人にこの救いの道を告知することもできるのです。

「・・・荒野で叫ぶ者の声がする。『主の道を用意せよ。主の通られる道をまっすぐにせよ。・・・こうして、すべての者が神の救いを見る。』」(ルカ3:4、6)



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