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2021年4月

2021年4月25日 (日)

御国の希望に溢れて生きる

 コロナ禍は依然として終わりが見えず、先行きが心配な人は多いようです。LINE株式会社は先月、1万8千人を対象にアンケート調査を実施しました。新生活を迎える気持ちを聞くと、「不安」と答えた人が最も多く、29.1%。第2位は「ワクワクする」で22.4%ですが、第3位は「緊張」で18.3%でした。

 「不安」や「緊張」と回答した人に対し、どんなことに不安を感じるのか質問しました。すると「仕事/就職/転職活動」が16.9%、「将来(人生)」が16.6%、「金銭的なこと」が16.1%という回答でした。

 他の人に言いづらい不安や悩みの解決法を聞くと、「一人で考える」が最も多くて29.7%。第2位「趣味で発散する」の19.3%を、10ポイントも引き離しています。難しい状況ではありますが、一人で考え過ぎないでほしいですね。

 ある精神科医は、コロナで不安を感じる人に3つのアドバイスをしています。第一に、不安をゼロにしようとせず、上手く付き合うこと。コロナのことを考えない努力は逆効果で、余計考えてしまう結果になるそうです。「不安があって当然だ」と認める方が、落ち着いて生活できるとの話です。

 第二のアドバイスは、不安につながる行動を減らすこと。多くの人はTVのワイドショーやネット情報を見て、不安が増すようです。一方、友人と他愛もない話をする時は不安になりません。そこで自分の日々の行動と不安の程度を日記のように記録し、不安になりやすい行動を減らすと良いそうです。

 この方の第三のアドバイスは、マインドフルネスです。今、目の前にあることに集中する生き方で、東洋の瞑想がルーツだそうです。未来を考えると不安になるので、今生きている感覚に意識を集中します。すると、不安という感覚を客観的に見直すことができるという話です。

 聖書には、別のアドバイスが記されています。全知全能の神に希望を見出すことです。

 エジプト人奴隷のハガルは、息子とともにアブラハムの家から追い出されました。途方に暮れ、荒野で一人泣いていました。すると神は彼女に語りかけ、将来に希望があると言って励まされました。

 エジプトに行ったユダヤ人は奴隷としてこき使われ、死に絶えそうでした。すると神は、モーセを通して彼らに希望を伝え、約束の地に導かれました。

 夫と2人の息子を亡くしたナオミは、先行きに絶望していました。すると神は嫁のルツを用い、ナオミの財産を回復させ、老後の世話をする男の子まで与えられました。

 ダビデは2度も王宮から命からがら逃亡し、お先真っ暗な状態になりました。若い時はサウル王に、年老いた時は息子アブサロムに命を狙われました。すると神は彼を危機から救い、処刑の心配から解放されました。

 神は私たちにも同じように希望を与え、不安から解放して下さるのです。

 イエス・キリストは、全ての人に希望をもたらされました。父なる神と同様、イエス様は私たちのあらゆる必要をご存知で、それらを全て満たして下さいます。ですから私たちは、どんな心配や不安からも解放されて生きることができます。

 心配事がある時は、いつでも神に祈ることができます。神は祈りを聴き、私たちの心を平安で満たして下さいます。

 私たちには、祈りの仲間も備えられています。互いに悩み事を打ち明け、祈りをもって支え合う仲間です。他愛もない話をして、心配を笑い飛ばすこともできます。

 目の前のことではなく、神の国に思いを集中する時、私たちの心配や不安は解消されます。永遠の御国は、限りない希望で満ちているからです。

「・・・これらのものがあなたがたに必要であることは、あなたがたの父が知っておられます。むしろ、あなたがたは御国を求めなさい。そうすれば、これらのものはそれに加えて与えられます。」(ルカ12:30-31)

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2021年4月18日 (日)

良いものを求め続ける

 先月、国連が発表した世界幸福度ランキングでは、フィンランドが4年連続1位になったそうです。2位以下はデンマーク、スイス、アイスランド、オランダと続きます。日本は、昨年から4つ順位を上げて56位。何年もの間、ずっと50位周辺を行ったり来たりしているようです。

 世界全体としては、コロナ禍でも幸福度はそれほど下がらなかったとのこと。コロナは人類共通の敵とみなされ、連帯感や仲間意識が高まったためとみられています。

 フィンランドでは、コロナの死者数が欧州諸国の大半の半分以下だったそうです。パンデミックの最中でも、フィンランド人は他の人と強い信頼関係を保ち、それが幸福度の高さをもたらしたと言われています。

 日本とフィンランドには、さまざまな違いがあると聞きます。日本ではさまざまな格差があり、多くの人は進路や職業選択の自由に制限があるようです。でもフィンランドでは、自由度が非常に高いそうです。年齢や性別、家庭の経済状況などは、大きな制約にならないとのこと・・・。

 日本では、長時間労働や休みを取りにくい職場環境が問題視されています。でもフィンランドでは退社時間が来たらすぐ帰宅し、豊かでゆとりのある生活をしているそうです。生活空間が自然に恵まれ、平日にスポーツを楽しんだり、週末にはアウトドア体験に出掛けたりする人も多いとの話です。

 日本よりフィンランドの方が、人と人との結び付きが強いと言う人もいます。コミュニティセンターと呼ばれる場所に人が集まり、そこで友人と話をしたり、図書館で本を読んだり、サウナに入ったりもするそうです。多くの人が長年、そのような生き方を求めて来た結果、幸福度の高い今の社会が実現したのかもしれません。

 日本は150年ほど前、欧米諸国をモデルとし、豊かで強い国づくりを始めました。76年前の手痛い敗戦の後、方向を変えて、今度は平和で豊かな国づくりを目指しました。しかし今は社会の大きな変化により、新たな方向性が必要とされています。

 少子高齢化で、人口が減少しつつあります。経済はゆるやかに衰退し、格差がじわじわと広がりつつあります。いわゆる「上級国民」への不信感や政治への無関心が、ますます広がっています。人口は大都市圏に集中し、人間関係が希薄になっています。コロナ禍で、希望を失う人も増えているようです。

 人々が将来に希望を持ち、幸福度の高い社会を実現するには、どうしたら良いのでしょうか。どんな生き方を、私たちは目指すべきなのでしょうか。遠い国の話に憧れ、ただ形だけ真似るのではなく、何を第一に求めるべきか、今こそ考えなければならない時のように思います。

 イエス・キリストは、こう言われました。「求めなさい。そうすれば与えられます。」それは、「人がむやみやたらと好きなものを求めれば、運や努力次第で手に入る」という意味ではありません。「天地創造の神に祈り、お願いをしたら、神が最善のものを与えて下さる」という意味です。

 神は、私たちの害になるものを自ら進んで与えることはなさいません。私たちの益となるものを与えて下さいます。自動販売機のように、ボタンを押せば即座にガランガランと出てくるのでもありません。神が定めたタイミングがあります。たとえスムーズに事が進まなくても、私たちは安心していられます。神は最善の時に最善のものを与え、私たちを祝福で満たして下さるからです。

 天から与えられる良いものに期待し、求め続ける人は、幸福度の高い生き方ができるのです。

「ですから、あなたがたに言います。求めなさい。そうすれば与えられます。探しなさい。そうすれば見出します。たたきなさい。そうすれば開かれます。」(ルカ11:9)

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2021年4月11日 (日)

新たな働き手を祈り求める

 葉物野菜の収穫には、今でも大勢の人手が必要だそうです。広大な畑に人が入り、機械ではなく手作業で一つ一つ収穫するからです。「働き手の数が収穫量に直結する」とも言われるそうです。重労働で日本人の働き手が集まらないので、外国人の技能実習生が頼りとのこと。技能実習生とは本来、日本で高い技術を身につけ、母国に帰ってそれを生かす研修生です。でも残念ながら、実際は安い労働力としてただ利用され、差別を経験し、日本が嫌いになって帰国する実習生が多いようです。

 昨年はコロナ禍で、多くの実習生が来日できませんでした。収穫が間に合わず、成長し過ぎた野菜を大量に廃棄したという報道もありました。野菜の収穫には、それほど外国人の手が欠かせない状況になっています。国籍別ではベトナム人が急増し、外国人労働者全体の25.7%。中国人を抜き、トップに立ったそうです。

 そのベトナム人を巡り、昨年、ある事件が起きました。レタスや白菜などを生産する長野県南牧村に、大阪のブローカーが不法滞在のベトナム人を派遣したのです。南牧村と隣の川上村は外国人が多く、6年前には人口の10%以上を占めていました。「外国人は貴重な労働力」と言われるそうです。ところが昨年は、コロナ禍で800人の実習生が長野県に来れませんでした。葉物野菜の収穫は、半分程度になりそうでした。

 すると、ブローカーがこう言って来ました。「人手不足はベトナム人で解消できる。全員、正規のビザを持っている。」それは嘘で、実際は不法滞在のベトナム人を紹介したようです。それでも農家のある人は、こう言ったそうです。「会社にはだまされた。でも、それで農家は助かった。」外国人の働き手は、それほど貴重な存在になっているようです。彼らの存在に感謝し、もっと大切にしてあげたいですね。

 神の国の収穫にも、たくさんの人手がかかります。機械でいっぺんに収穫できないからです。

 私の場合にも、信仰を持つまでに多くの人が関わってくれました。聖書の話をしてくれた、幼稚園や日曜学校の先生たち。クリスチャンになった経緯を話してくれた、大学時代の友人。自伝や小説をたくさん書いてくれた三浦綾子さん。聖書を日本語に訳し、出版してくれた多くの人たち。福音を伝える、米国のテレビ番組を放映してくれた人たち・・・。

 自分の属する教会を私に紹介してくれた人もいます。そこで友だちになった人たちは、一緒に食事をしたり、遊びに行ったりしてくれました。陰で祈ってくれた人たちもいました。そしてある日、私は洗礼を受ける決心をし、牧師と面談しました。その時に至るまで、私がいた「畑」に神は多くの働き手を遣わして下さいました。彼らの貴重な働きを通し、私は神の国に「収穫」されたのです。

 イエス・キリストは、働き手が送られるように祈りなさいと言われました。全ての人は神に造られ、愛され、大切に養われています。その一人ひとりが廃棄されず、神の国に収穫されるように、イエス様は願われています。

 イエス・キリストを信じる人は、全世界という広大な畑の片隅に遣わされます。収穫の働き手として、神の国から各国に派遣された「外国人労働者」のようです。一人ひとりの働きは、ごく小さなものに思えるかもしれません。自分のしたことが、思うような結果につながらないかもしれません。でも神は、私たちの小さな働きをつなげ、神の国の大きな収穫のために用いて下さいます。

 私たちは貴重な働き手であり、天に大きな祝福と報いが積み上げられています。この素晴らしい働きに、さらに新たな人が加えられるよう、祈り求めましょう。

「そして彼らに言われた。『収穫は多いが、働き手が少ない。だから、収穫の主に、ご自分の収穫のために働き手を送ってくださるように祈りなさい。』」(ルカ10:2)

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2021年4月 4日 (日)

死からの自由をお祝いする

 俳優の田中邦衛さんが先月、老衰のため亡くなったそうですが、コロナより老衰で死ぬ人の方が日本で急増中のようです。昨年、日本で亡くなった人の合計は138万人で、前年からほぼ横ばいでした。コロナ対策で他の感染症が流行せず、通常の肺炎やインフルエンザの死亡者数が大きく減ったためとみられています。でも一昨年までの10年間は、毎年平均2万人ほど死亡者が増え続けたようです。人口が高齢化し、ここ20年は老衰で死ぬ人の割合が増加しています。

 2019年の統計では、老衰による死者は12万2千人で全体の8.8%。肺炎や脳血管の病気を抜き、老衰は死因の第3位に急上昇しました。死因第1位はガンで37万6千人、全体の27.3%。第2位は心臓病で20万8千人、15.0%です。ガンや心臓病の比率も増加していますが、老衰の増え方はそれ以上です。(ちなみにコロナの死者は昨年、約3,500人で全体の0.25%です。)

 高齢化による「多死社会(多くの人が死ぬ社会)」が到来したとも言われます。日本で死亡者数がピークを迎えるのは2040年頃で、年間160万人以上が亡くなる見込みだそうです。これに伴い、さまざまな問題点が指摘されています――コロナ以外の入院患者の病床数不足、火葬場や墓地の不足、人生の最終段階の医療や介護の仕組みをどうするか等です。

 ある人たちは、数年前から「デスカフェ(Death Cafe)」と呼ばれるイベントを全国各地で開いているそうです。参加者がお茶を飲みながら、死について語り合うイベントです。僧侶、看護師、心理カウンセラー、葬儀社等の主催だそうです。「参加すると元気になって、死ぬ気にならなくなる」という人もいるとのこと。「終活」をする人も、増えているようです。死をどう迎えるか、元気なうちに計画することですね。どう死ぬか考えるのは、どう生きるか考えることにもつながります。

 生前に死後の行き先を選択することも、たいへん重要だと言えます。ある調査によると、日本で死後の世界を信じる人は32.2%、信じない人は34.7%、分からない人は32.6%だそうです。死後の世界を信じる人の多くは、別の世界か、異なる存在への生まれ変わりを信じているのでしょう。良い行き先を選ぶため、この世でできるだけ良い生き方をしようとする人もいます。

 死後の世界を信じない人は、死んだら全てが無になると考えます。何も無い状態になることを選択しているのです。この世で十分幸せな人は、それで良いと思うかもしれません。でも不幸な人は希望を失い、自殺する恐れもあります。

 死後の世界があるかないか分からない人は、行き先を選べる状態にありません。その人は、どんな生き方をすべきかよく分からないかもしれません。行き先が分からないまま死を迎えるのは、大きな不安や恐怖感がありそうです。

 イエス・キリストは、死後に復活の希望があることを全世界に示して下さいました。天地創造の神は、私たちに永遠の世界を用意されています。アダムとエバは自ら死を選び、全人類は死の支配を受けるようになりました。でもイエス様は、人類を代表してその罪を償い、そして死にも勝利されました。

 世の終わりに、イエス様は永遠の祝福の世界を完成して下さいます。イエス・キリストを信じる人は、その世界に生きる特権が与えられています。生きているうちに、永遠のいのちを選択できるのです。

 私たちは、もはや死を恐れることはありません。死は終わりではなく、復活、そして永遠の祝福への通過点だからです。イエス様が、私たちを死の支配から自由にして下さいました。

 復活祭おめでとうございます!今週は特にイエス様の復活を喜び、死からの自由をお祝いしましょう。

「・・・次のように書いてあります。『キリストは苦しみを受け、三日目に死人の中からよみがえり、その名によって、罪の赦しを得させる悔い改めが、あらゆる国の人々に宣べ伝えられる。』・・・」(ルカ24:46-47)

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