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2022年2月

2022年2月27日 (日)

人の励ましとなる

 先日の冬季五輪では、励ましのシーンを繰り返し見たように感じます。スキージャンプ混合団体で高梨沙羅選手は、1回目失格になりました。スーツの規定違反と言われ、彼女は泣き崩れました。するとそばにいたドイツチームのスタッフが肩に手を添え、慰めの言葉をかけました。ポケットからティッシュを取り出し、差し出しました。「沙羅が一日でも早く回復し、元気になることを願っています」と、メッセージも残したそうです。

 スピードスケート女子パシュートの決勝では、高木奈那選手が最後のカーブで転倒しました。泣きじゃくり、崩れ落ちる奈那選手をチームメートが抱きかかえ、励ましました。

 カーリング女子日本代表は、点差が開いても一投ごとに大声で励まし合いました。笑顔を絶やさぬ彼女らの姿勢はチームメートを勇気づけただけでなく、対戦チームからも称賛されました。そうした映像を見て励まされた人も、多かったかもしれません。私もその一人です。

 多くの人は、励ましを必要としています。人生は、上手くいくことばかりではないからです。自分のするあらゆることが報われ、いつも表彰台の真ん中に立つような日々だったら、人生は全てバラ色かもしれません。でも実際には、そんな人生はありません。時には灰色や暗黒、そしてブルーな日がある――それが、私たちの人生の現実です。

 人から理不尽な扱いを受け、絶望感を味わう時があるかもしれません。思わぬアクシデントで周りに迷惑をかけ、残念な思いに満たされる瞬間もあるかもしれません。思うように力を出せず、悔しい思いを持つ時もあるかもしれません。

 そんな時の温かい慰めや励ましは、私たちの心に染みます。新たな力が注がれ、私たちが再び前に進むきっかけにもなり得ます。

 聖書は、そんな励ましのエピソードに満ちています。天地創造の神は、励ましのエキスパートなのです。アブラハムの家から追い出されたハガルには、深い絶望感がありました。息子とともに荒野をさまよい、飲み水もなくなった彼女は、座り込んで泣くしかありませんでした。そんな彼女を神は励まし、井戸のありかも教えて下さいました。

 夫や息子たちを失ったナオミも、お先真っ暗でした。たった一人で故郷に帰り、どん底の老後を送ろうとしていました。でも神は彼女に最高の励まし手を遣わし、財産を回復させ、孫まで与えられたのです。

 ツァレファテに住むシングルマザーは、息子とともに餓死寸前でした。食料が底をつき、手に入る見込みもなかったのです。神はその家に預言者エリヤを送り、彼女を励まされました。食材は尽きないと約束し、その約束を守って下さったのです。

 イエス・キリストは、全ての人に励ましを与えて下さいます。愛する弟子の一人にイエス様は裏切られ、敵対者たちに捕えられました。理不尽な裁判の末、何の罪もないのに十字架につけられました。天地創造の神なのに人として死に、墓に葬られました。でも、その絶望的な状況を打ち破る奇跡が起こりました。墓からよみがえられたのです。

 イエス・キリストを信じる人は、神の驚くべき奇跡を体験できます。どんなに厳しい状況に陥っても、私たちには不滅の希望があります。イエス様は御自身のいのちを犠牲にするほど、私たち一人ひとりを深く愛しておられます。どんな困難の中でも私たちを支え、励まして下さいます。

 使徒パウロはイエス様から励ましを頂き、周りの人たちを励ましました。私たちも同じように人の励ましのため、イエス様が用いて下さるのです。

「ですから、皆さん、元気を出しなさい。私は神を信じています。私に語られたことは、そのとおりになるのです。」(使徒27:25)

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2022年2月20日 (日)

永遠の遺産を継承する

 日本政府は先日、佐渡島の金山を世界文化遺産の候補としてユネスコに推薦しました。佐渡島では古くから砂金が採れ、江戸時代には国内最大の金山として小判が製造されたそうです。明治時代には西洋の技術者を招いて機械化が図られ、日本産業の近代化に貢献したとのこと。金山は1989年に操業停止となりましたが、約400年間で78トンもの金を採掘しました。

 アリの巣のように掘られた坑道の総延長は400kmに及び、ちょうど佐渡ー東京間の距離に匹敵するようです。金山の広大な敷地のあちこちに、長い歴史を物語る数々の痕跡が残されていると聞きます。先人たちの営みや鉱山技術、生産システムの変遷を見ることができる貴重な遺産だそうです。

 ただ世界遺産への登録は、ハードルが高そうです。日本政府が推薦を表明すると、韓国はすぐに反対しました。第2次大戦中、朝鮮半島出身者1,500人余りが強制労働させられた場所とされるからです。ロシアも公式に反対を表明し、報道官がこうコメントしました。「日本は・・・指導者たちが犯した犯罪行為を人類の記憶から消すために・・・持続的な措置をとっている。」

 佐渡の金山は、キリシタンの殉教地でもありました。江戸時代初め、迫害を逃れた多くのキリシタンが佐渡に来て、鉱夫として働きました。ところが島原の乱直後に彼らは捕えられ、処刑されたようです。その数は百人ほどとも言われますが、詳しい記録が残っていません。

 世界遺産は、「顕著な普遍的価値」が認められる遺跡とのこと。もし佐渡の金山が世界遺産になるなら、時の権力者の人権抑圧についても、反省すべき「負の歴史」として記録に残してほしいですね。

 聖書は、登場人物たちの「負の歴史」を赤裸々に記録しています。人類共通の祖先であるアダムとエバは、世界史に大きな爪痕を残す罪を犯しました。神との約束を破り、人類に死をもたらしたのです。それ以来エデンの園は、全世界が継承する遺産ではなくなりました。

 「信仰の父」と呼ばれるアブラハムは、年老いた妻サラが跡取りを産む奇跡を信じられませんでした。彼は女奴隷ハガルに子供を産ませ、結局はその母と子を追い出す羽目に陥りました。

 ユダヤ人の仲間を助けたかったモーセは、殺人を犯しました。その結果モーセは、強制労働に苦しむ仲間たちを40年間待たせることになりました。

 イスラエルの伝説的なヒーローだったダビデ王は、人々の期待を大きく裏切りました。忠実な家臣から妻を奪い、その夫を死に追いやったのです。

 選びの民イスラエルは繰り返し罪を犯し、世界中に悪い生き方の模範を示しました。その挙げ句、彼らは相続地の遺産を失い、世界中に散らされたのです。

 イエス・キリストは、「顕著な普遍的価値」のある遺産をのこしに来られました。救い主イエスを信じる人は罪が赦され、神との関係が回復します。永遠のいのちを授かり、エデンの園を超える新たな世界遺産を継承できます。

 ペテロのように失敗ばかりする人であっても、その遺産を受け継ぐことができます。パウロのように、記憶から消したいような罪を犯した人でも大丈夫です。イエス様が、私たちのあらゆる罪や過ちを十字架で帳消しにされたのです。

 ですから私たちは過去がどんなに暗くても、それを明るみに出して告白し、記録に残せます。神は、ふさわしくない者にさえ永遠の遺産を継承させて下さいます。私たちはその大きな恵みを感謝し、誉め称えることができるのです。

「それは彼らの目を開いて、闇から光に、サタンの支配から神に立ち返らせ、こうしてわたしを信じる信仰によって、彼らが罪の赦しを得て、聖なるものとされた人々とともに相続にあずかるためである。」(使徒26:18)

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2022年2月13日 (日)

良心を保つ

 北京五輪が開幕しました。日本選手の活躍が日々、報道されています。そこに参加できた選手たちや素晴らしい結果を残した選手たちは、大きな称賛に値します。

 冬季五輪がどこで開催されようと、彼らのすることにおそらく大きな違いはなかったでしょう。本番で最高のパフォーマンスを発揮できるように、彼らは日々厳しい訓練を積み重ねて来たはずです。競技中はフェアプレーに徹し、勝利の栄冠を目指して全力を尽くします。それはアスリートとしての良心に従い、平和の実現を求めるオリンピック精神に沿った行動だと言えます。

 創造主なる神は、彼らに飛び抜けた運動能力を与えられました。その力を十分に活かし、他の人の励ましになることを、神はきっと喜んで下さるでしょう。

 ところが五輪開催地に何か問題があると、話は複雑です。今回の問題は、中国政府の人権抑圧です。

 目に見える物しか認めない共産主義政権は、目に見えない存在を信じる人々を弾圧して来ました。仏教徒やクリスチャンへの迫害も継続中ですが、今はウイグル族の迫害等がクローズアップされています。彼らの多くはムスリムで、強制的に施設に収容され、共産主義や現政権に関する再教育が行われているようです。

 人権抑圧に抗議し、北京五輪に政府関係者を派遣しない国々がありました。開催に抗議するデモも、世界各地で行われました。トルコ・イスタンブールのデモに参加したある女性は、8年前に子供4人を連れ、避難して来たそうです。夫や親族と今も音信不通の彼女は、涙ながらにこう語りました。「人々が良心に従うなら、五輪を阻まねばならない。開催を認めれば、虐殺を許すことになる。」

 彼女の家族や親族を含め、抑圧された人々が解放され、中国でも信教の自由が認められるようにお祈りしています。

 良心とは、善悪を判断し、正しく行動しようとする心のことです。この善悪判断のモノサシは本来、一人ひとりの心に備わっていると聖書は語っています。全ての人は、良心ある存在として造られているのです。

 ところがエデンの園の大事件が、今なお人々の良心に暗い影を落としています。人類共通の祖先アダムとエバが、(リンゴではなく)善悪を知る知識の木の実を食べた事件です。それ以降、人類は神のみこころに関係なく、勝手に善悪を判断するようになりました。

 人々の心は次第に神から離れ、善悪のモノサシが狂い始めました。ケンカや殺人を平気で行い、人を力でねじ伏せ、支配する人々も現れました。良心を全く持たないように見える人たちもいます。人々の善悪のモノサシは、正常に働かなくなってしまったのです。

 イエス・キリストは、私たちの良心を回復させに来て下さいました。イエス様を信じる人は、良心の源である神との壊れた関係を修復することができます。神の完璧な基準に基づき、狂いが生じた善悪のモノサシを修正できます。人を押さえつけ、傷つけるのは悪いことだと、正しく判断できるのです。

 全ての人は、神に造られた大切な存在です。神は私たち一人ひとりを愛し、それぞれの人生に素晴らしい祝福の計画をお持ちです。

 私たち一人ひとりは、神からそれぞれ異なる力が与えられています。ある人は、運動能力に秀でています。別の人は、知的能力に優れています。音楽的な才能に恵まれた人もいます。いるだけで周りを和ませるような、柔和な人格を持つ人もいます。

 それぞれ異なる私たちが良心を健やかに保ち、互いに平和な関係を築くことを、神は願っておられるのです。

「そのために、私はいつも、神の前にも人の前にも責められることのない良心を保つように、最善を尽くしています。」(使徒24:16)

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2022年2月 6日 (日)

勇気をもって行動する

 逆ギレして人に危害を及ぼすような嫌なニュースが、最近続いています。2週間前にも、そんな報道がありました。電車内の喫煙を注意した高校生が暴行を受け、大けがをした事件です。

 その男子学生はぜんそくで、受動喫煙に気をつけていたようです。ところが禁煙の車両に彼が乗ると、ルールもマナーも無視した若い男性がいました。優先席を一人で占領し、加熱式タバコを吸っていたのです。

 高校生は、勇気をもってその男性にこう声を掛けました。「タバコを吸うのをやめてもらえませんか?」言われた男性は逆上し、高校生に殴る蹴るの暴行を加えました。列車がホームに着くと、男性は学生をホームに引きずり下ろし、さらに暴行を続けたそうです。高校生は重傷を負い、男性は警察に逮捕されました。

 この高校生の勇気ある行動について、ネット等ではこんな反応があったようです――「彼は間違っていない。」「男子高生は素晴らしい。偉い。」「勇気ある行動に拍手を送りたい。」

 一方、違う反応もありました――「話の分からない人には、なるべく関わらない方が賢い。」「勇敢な人が称賛されるのは健全だが、蛮勇が良しとされる社会は危険だ。」

 あなたなら同じ状況でどうするかと聞くと、こんな声があったそうです――「怖いけど注意はする。」「そんな勇気はない。そういう時は遠くへ逃げる。」「窓を開けるくらいしかできない。」「昔、逆ギレされて逃げた経験があるので、たぶん注意しない。」「警察を呼ぶ方が良い。」

 JR東日本は、列車内のSOSボタンの活用も呼び掛けています。加害者が刃物や液体等、危険物を持つ可能性を指摘する人もいます。勇気ある行動には、慎重さも求められますね。暴行された高校生の心と体の癒しをお祈りしています。

 天地創造の神は、これまであらゆる人の人生に関わり、勇気ある行動を導いて来られました。父の家を後にしたヤコブを、神はこう励まされました――「わたしはあなたとともにいて、あなたがどこへ行っても、あなたを守り、あなたをこの地に連れ帰る。」(創世28:15)

 荒野に潜んでいたモーセには、エジプトの王宮でファラオと対決するように命じられました。神はその時、モーセにこう約束されました――「わたしが、あなたとともにいる。・・・このわたしがあなたを遣わすのだ。」(出エジ3:12)

 モーセの後を継いだヨシュアには、全てのユダヤ人を率いて約束の地を占領するように命じられました。ヨシュアに対して神は、こう約束されました――「わたしはモーセとともにいたように、あなたとともにいる。わたしはあなたを見放さず、あなたを見捨てない。」(ヨシ1:5)

 そして強敵ミディアンとの決戦に遣わされたギデオンも、神にこう励まされたのです――「わたしはあなたとともにいる。」(士師6:16)

 イエス・キリストは、インマヌエルという別の名を持っておられます。「神が私たちとともにおられる」という意味です。天地創造の神が人となり、私たちの世界に住んで下さいました。イエス様は、御自身を信じる人とどんな時もともにおられます。

 迫害され、死に直面した使徒パウロも、イエス様に励まされ、勇気をもって行動できました。同じように私たちにも、天からの励ましがあります。イエス様は私たちに不思議な力を注ぎ、神の知恵と勇気で満たして下さいます。

 どんなに危険な状況でも、私たちは天の導きに従い、勇気ある行動をとることができます。全知全能の神が私たちとともにいて、味方して下さるからです。

「その夜、主がパウロのそばに立って、『勇気を出しなさい。あなたは、エルサレムでわたしのことを証ししたように、ローマでも証しをしなければならない』と言われた。」(使徒23:11)

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