« キリストの平和を待望する | トップページ | 天命を果たす »

2022年3月13日 (日)

王道を歩む

 ウクライナで捕虜になったロシア兵士たちの告白が先日報道されましたが、衝撃的でした。多くの兵士や将校たちが戦争の目的を知らず、訓練だと思って進軍したようです。ロシア人捕虜たちは、こう言っていました。

――「ロシア軍は、悪いことを何もしていない人たちを殺している。」「負傷した味方の兵士も殺している。」「プーチン大統領は何が起きているのか知らせたくないので、戦死者の遺体を持って行こうとしない。」「ロシアの人々は・・・プーチン大統領の話に耳を貸さないようにしてほしい。」「ロシア国民が蜂起して、プーチン大統領を打倒しなければならない。」――

 ロシアの国営テレビは、捕虜の情報は「フェイクニュース」だと主張しているようです。ロシア政府はSNSへの接続を遮断し、情報統制を始めました。政権が「虚偽」とみなす情報を広めると、最大で懲役15年だそうです。ロシアの独裁政権は、混迷の度合いを深めているように見えます。

 ふと私は、昔学んだ儒教の教えを思い出しました。ご存知の通り、儒教は孔子から始まった教えで、指導者のあるべき姿について多く語っています。

 孔子に次いで重要な儒学者とされる孟子は、紀元前4~3世紀頃に生きた人でした。その頃の中国は戦国時代で、自ら王と名乗る指導者たちが武力によって他の国を従わせ、天下を取ろうとしていました。孟子は、そんな指導者たちにこう説いて回ったそうです。

――「武力や策略によって支配しても、民衆の心は離れ、国は滅びる。領土や軍隊の大きさではなく、愛によって人の心をつかむことが、天下を治める道だ。」――

 孟子は、このような指導者のあり方を「王道」と呼びました。その逆は「覇道」です。報道やSNS等の情報から判断する限り、今回のロシアによるウクライナ侵攻は王道ではなく、覇道のようです。

 天下を造り、治めている神は長い年月をかけ、ご自身の王道のあり方を示して来られました。神の限りない愛は、多くの人の心をわしづかみにしました。

――年老いたアブラハムは跡継ぎの子を授かり、経済的にも豊かに祝福されました。奴隷として売られたヨセフは大国の指導者とされ、彼の家族は飢饉から救われました。人殺しだったモーセはやり直しのチャンスが与えられ、彼の仲間は強制労働から救われました。難民だったユダヤ人は相続地を受け取り、移住先が決まりました。ユダヤ人が神を何度裏切っても、悔い改めれば必要な助けが送られました。イスラエルの王たちが王道を歩まず、国が滅んだ後も、神は捕虜になった人々を救い出されました。――

 天地創造の神は、王道に基づき天下を治めて来られたのです。

 イエス・キリストは、神の国の王道を全世界に示しに来られました。イエス様の愛を知った人は、心が変えられます。力づくや悪巧みにより人を操るのは無益だと、悟るようになります。イエス様が歩んだ王道を自分も辿りたいと、願うようになります。もしそうならず、覇道を歩み続ける人がいたら、どこかで道を見失い、迷子になっているのかもしれません。

 使徒パウロは神の国の敵対者たちに捕えられ、捕虜となりました。それでも彼は、イエス様が王道を歩まれたことを決して疑いはしませんでした。そして、キリストの道を辿ることを人に勧め続けたのです。

 イエス様に付き従い、王道を歩む人は、王とともに天下を治める特権を授かります。私たちはこの名誉ある生き方を感謝し、人にもお勧めできるのです。

「さて、主にある囚人の私はあなたがたに勧めます。あなたがたは、召されたその召しにふさわしく歩みなさい。」(エペソ4:1)

|

« キリストの平和を待望する | トップページ | 天命を果たす »

礼拝」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。