和の国
何年か前、確か、「日本国憲法」という本がベストセラーになりました。占領軍の押し付けだとか、日本語として分かりづらいとか、非現実的な理想主義だとか、いろいろ言う人はいますが、国民として、折にふれ、読み返すことが必要ですね。私は、昨日前文を再読して、たいへん立派で気品のある文章だと感じました。
「平和」という言葉は、現憲法を制定した終戦直後のみならず、今でも多くの日本人の心に強く響くのではないでしょうか。日本人は「平和ボケ」したという批判の声もありますが、日本文化を理解する上で欠かせないキーワードの一つは、「和」だと思います。
「日本」という国名は、もともと「倭(ヤマト)」だったようですが、日本人のことは、「和人」と書かれますね。聖徳太子による憲法十七条の冒頭、「和をもって貴しとなす」は、論語からの引用だそうですが、その精神は、日本文化の中に深く浸透しているようです。
東京大学名誉教授の京極純一氏は、「日本の政治」と題する著書の中で、「和の秩序」についてふれています。1924年生まれの同氏は、ある紹介文によると、「学徒動員中に入信した筋金入りのクリスチャン」だそうです。京極氏の分析によれば、集団内で「和」を保つ政治的な方法は、「長老型リーダーの人柄」と「根回しによるコンセンサス」とのこと。集団の成員は「空気」を読み、全員一致による「和」の維持に務めなければなりません。
全体が心から一致しており、それが集団外の世界との良好な関係につながっていれば良いですが、現実は、なかなかそうはいきません。第二次大戦の時は、国外には戦火を広げ、国内にあっては、「空気」に反対する少数者を「非国民」として弾圧しました。クリスチャンとなった京極氏は、それを身をもって体験したに違いありません。
本当に大切な「和」は、創造主なる神様との「和」であると、聖書は教えています。神様は、愛に満ちた「人柄」を持つ、世界で一番の「長老」です。そしてもちろん、世界中に、愛の「和(=輪)」を広げていきたいと願っておられます。私たちは、神様のみこころの「空気」を読み、真の「和の国」を築いていきたいですね。
「さあ、あなたは神と和らぎ、平和を得よ。そうすればあなたに幸いが来よう。」(ヨブ22:21、新改訳第3版)
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